映画「ゴッドファーザー」の伝説マフィア末裔が語る壮絶な半生記

『ゴッドファーザーの血』マリオ・ルチアーノ著
『ゴッドファーザーの血』マリオ・ルチアーノ著
写真を見る

 茅場町(東京都中央区)にあるイタリア料理店「ウ・パドリーノ」。ミートボールや鶏肉、ラム肉を使った煮込み料理など、シチリアの手料理をメインに出している。ここのオーナーシェフ、マリオ・ルチアーノ氏が本書の著者だ。では本書は、イタリア料理について書かれた本かといえば、まったく異なる。なんと著者はマフィアのファミリーで生まれ育った人物。しかも、「伝説のマフィア」の末裔という血筋。とても現実とは思えないハードな人生が詰まった半生記なのである。

 著者は一体何者なのか。それを知ろうとするとき、同時にマフィアの歴史も知ることになる。1972年、フランシス・フォード・コッポラが監督した『ゴッドファーザー』が公開され、世界的に大ヒットした。本作はマリオ・プーゾの原作を映画化したもので、ファミリーの強い絆にも焦点を当て、マフィアの異なる側面を描き出した。実はマーロン・ブランド(青年時代はロバート・デ・ニーロ)が演じたドン・ヴィトー・コルレオーネには、モデルになった大物マフィアが存在している。それがラッキー・ルチアーノ(1897年~1962年)だとされる。

 ルチアーノもシチリア出身だったが、当時のアメリカにおいて彼らのような移民は貧困と差別に苦しめられていた。そうした時代背景から、非合法なマフィアが台頭してくる。1920年代は、マフィア間の抗争が最も激しかった時代だったが、商才に長けたルチアーノはマフィアのビジネス化を成功させ、暗黒街のスターとなった。ルチアーノは結婚しなかったため子どもはいなかったが、その血縁にあたる著者のファミリーもマフィア・ビジネスを生業にしていたのである。

 ファミリーの中で将来を見込まれていた著者は、少年期から大人たちの会合に参加し非合法なビジネスに手を染めながら、世界を転々としていく。シチリア、アメリカ、ギリシャ、パキスタン、フィリピンそして日本。一夜にして大金を得たと思ったら身内から裏切られて一文無しになったり、襲撃を受けて何度も死にかけたり。そしてある時は大物ヤクザと杯を交わしたり、とある政治家の裏金取り引きの交渉現場を目の当たりにしたりと、映画のように無茶苦茶なエピソードが満載だ。

 しかしそんな著者も、ある日本人女性と恋に落ち、普通の人生に至福を見出す。今では裏稼業から足を洗い、レストランを切り盛りする毎日。本書を読んでから、著者がふるまうシチリア料理を食べたら、さぞや味わい深いものになるだろう。


出版社:双葉社
書名:ゴッドファーザーの血
著者名:マリオ・ルチアーノ
定価(税込):1,620円
税別価格:1,500円
リンク先:http://www.futabasha.co.jp/booksdb/book/bookview/978-4-575-31352-9.html?c=30598&o=date&type=t&word=%E3%82%B4%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%81%AE%E8%A1%80

 西日本新聞 読書案内編集部

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]