生き物の奇妙で悲しい生態と人間の振る舞いについて考えさせられる図鑑

『泣けるいきもの図鑑』今泉忠明/監修
『泣けるいきもの図鑑』今泉忠明/監修
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 2016年に発売され、大ヒットした『ざんねんないきもの事典』はこのほどアニメ化が決定した。高橋書店より出版された同書は、翌年に続編が出版され、さらに今年発売された第3弾の紹介文によれば、シリーズ累計200万部突破だそうである。

 本書『泣けるいきもの図鑑』はおなじ今泉忠明・監修で、学研プラスから出たもの。こちらも、2017年に発売されて以来、順調に版を重ねている。『ざんねんな……』の方が「笑えて、ちょっとためになる」のを売りにしているのに対し、本書はタイトルにある通り、「泣ける」話に焦点をしぼっている。

 全部で71種類の動物の生態が1ページないし見開き2ページという読みやすい構成で、大きなイラストとともに紹介されている。子どもが自分で読めるように総ルビになっているところも好感がもてる。どの話がより泣けるかは読者の感性にもよるだろうが、いわゆる弱肉強食的な話だけでなく、種として生命をつなぐ仕組みが悲しい生き物の話もある。たとえば、ミノムシの場合──

 「おすの幼虫は、成長し、さなぎからはねが生えた成虫になると、口がなくなります。そのため、何も食べることができません。めすと交尾するためにとび立ち、死んでいきます。交尾できずに終わることもあります。
 めすの幼虫も、さなぎから成虫になりますが、はねもあしもないため、みのから外に出ることなく、おすと交尾してたまごをうみ、死んでしまいます」

 この他、6種類の絶滅記録や11の実話(タロとジロ、ハチ公、野生のエルザなど)も収録されている。ソ連のスプートニク2号でうち上げられたイヌのライカの話など、ソ連崩壊後に発表された内容にもふれられており、泣けるというより胸が痛い。

 本書は泣ける話を中心に集めたことにより、子どもに対する教育効果も期待できるものになっていると思う。自然の摂理によるものだけでなく、人間の横暴に起因する悲しい話も多数収録されているからだ。野生動物保護NPOのパートには、いたずらで巣ごと落とされたツバメのひなが3羽死んでしまう話があり、その心ない人間の行動に泣けてくる。


出版社:学研プラス
書名:泣けるいきもの図鑑
著者名:今泉忠明/監修
定価(税込):972円
税別価格:900円
リンク先:https://hon.gakken.jp/book/1020463000

 西日本新聞 読書案内編集部

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