1か月で100人近くが脱落する防衛大で培った、「折れない」心の作り方

『防衛大式 最強のメンタル』濱潟好古著
『防衛大式 最強のメンタル』濱潟好古著
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 未来の幹部自衛官を養成する防衛大学校(防衛大)は、日本で一、二を争うほど厳しい学校として知られている。教育課程に加えて厳しい訓練課程をこなしながら、厳格な規律のもと、他の防衛大生と生活しなくてはならない。1~4学年のうち1学年の防衛大生は特にしごかれ、敬礼の仕方から身だしなみまで24時間みっちり指導される。

 防衛大を卒業後、IT系ベンチャー企業で社内の営業MVPを総なめにした本書の著者・濱潟好古氏にも、苦い経験が数え切れないほどあるという。入校してすぐの頃、濱潟氏は指導の一環としてベッドを解体されてしまった。もとに戻すのを手伝ってくれた同期に廊下でお礼を言った瞬間、上級生から雷が落ちたという。「廊下は戦場だ。そんなに余裕があるなら、お前の時間を奪ってやる」と、毎日地獄の指導を受け続けたのだ。

 そんな苛烈な環境の防衛大だったからこそ、精神的にタフにならざるを得なかったのだろう。本書には、濱潟氏が血のにじむような思いで手に入れた、逆境を乗り切るためのヒントが散りばめられている。主に「現状」「行動」「結果」「休み方」「関係」を変える、という5つのテーマに分かれているが、中でも印象的なのが度々登場する「ドラゴン部屋長」とのエピソードだ。

 ドラゴン部屋長は濱潟氏のいる部屋を取り仕切る上級生。留年を経験していたこともあり、同様に留年した濱潟氏を気にかけ、他の防衛大生にも頼られていた 人格者だ。

 濱潟氏がある日「自分はダメっ子で、何をやってもダメなんです」と漏らした途端、優しく聞いていたドラゴン部屋長がいきなり顔色を変えた。そして、「お前はバカなのか。自分を否定する前にやるべきことがたくさんあるだろ。人間だれしも可能性があるんだよ」と怒ったのだそうだ。このことがあってから、濱潟氏は「俺はダメっ子だ。ただし、今のところはね」「俺はダメ営業マンだ。ただし、今だけね」と心の中で唱えるようになったという。今はダメでも、明日には「デキる奴」に変われるかもしれない。自己否定をする暇があったら、目の前のことに集中して自分の可能性を広げる。それを愚直に続けることで、現状を打破したのだ。

 「企業戦士」と呼ばれるように、現代のビジネスマンも生き馬の目を抜く戦場で生きているに等しい。心を折られてしまう前に、防衛大仕込みのメンタルトレーニング法を試してみてはいかがだろう。


出版社:青春出版社
書名:防衛大式 最強のメンタル
著者名:濱潟好古
定価(税込):1,512円
税別価格:1,400円
リンク先:http://www.seishun.co.jp/book/20077/

 西日本新聞 読書案内編集部

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