3年ぶりの書き下ろしにファン歓喜! 『下町ロケット』シリーズ第3弾

『下町ロケット ゴースト』池井戸潤著
『下町ロケット ゴースト』池井戸潤著
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 「待ってました!」というファンの声があちこちから聞こえてきそうだ。本書『下町ロケット ゴースト』は、累計200万部を超え、阿部寛主演のTVドラマも最高視聴率22.3%を記録した大人気シリーズ「下町ロケット」の第3弾。実に3年ぶりの書き下ろしということもあり、発売後すぐに重版が決まったというから驚きだ。

 前作である『下町ロケット』『下町ロケット ガウディ計画』で度重なる経営難を乗り越えてきた町工場・佃製作所は、今回も窮地に立たされる。主要取引先から、コストを理由に発注量を大きく削られてしまったのだ。また、佃製作所の社長・佃航平の腹心であり、経理部長の殿村が、父の急病により佃製作所で仕事を続けるか、それとも家業を継ぐかの選択を迫られることとなる。追い詰められた佃製作所は、起死回生の手段としてトランスミッション(変速機)の開発に乗り出すのだった。

 そのために、有望なトランスミッションメーカーでありベンチャー企業のギアゴーストと組むことにした佃製作所。しかし、ギアゴーストはライバル会社・ケーマシナリーの陰謀によって、紛争に巻き込まれていく。その頃、佃製作所にともギアゴーストとも深い因縁を持つ大企業・帝国重工では、重大な改革が行われていた……。

 タイトルにある「ゴースト」とは、「墓場の住人」を指す。ギアゴーストの創業者である伊丹と島津は、天賦の才能を持ちながらも、もといた帝国重工で組織の圧力に押し潰され“帝国重工の墓場”である総務部へ追いやられたという過去の持ち主だ。「組織に必要とされないなら、二人の才能を掛け合わせ、手に手を取って夢をつかんで行こう」。そんな切なる想いを胸に陰謀に抗おうとするギアゴーストと、彼らと共闘しようとする佃製作所の熱い戦いに、ページを繰る手が止まらない。

 小さな企業が誇りとプライド、そして夢をかけて奮闘する様がこんなにも面白いのは、彼らの苦悩がサラリーマンなら誰しもが経験したことのあるものだからだろう。殿村の「意に沿わない仕事を命じられ、理不尽に罵られ、嫌われて、疎ましがられても、やめることのできないのがサラリーマンだ」という台詞が、その象徴だ。だからこそ、手に汗握って応援したくなる。

 意外な結末を迎える本書は、続編『下町ロケット ヤタガラス』(9月28日発売)へと続いていく。そちらもぜひ、手に取ってみていただきたい。


出版社:小学館
書名:下町ロケット ゴースト
著者名:池井戸潤
定価(税込):1,620円
税別価格:1,500円
リンク先:https://www.shogakukan.co.jp/books/09386515

 西日本新聞 読書案内編集部

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