相続でモメるかモメないかは「長男」次第

『やってはいけない「長男」の相続』税理士法人レガシィ著
『やってはいけない「長男」の相続』税理士法人レガシィ著
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 日本は世界に冠たる長寿国。だが、素直に喜べない面もある。その代表が介護の問題だ。とくに、認知症のようなケースでは、家族の苦労には計り知れないものがある。さて、そのような場合、介護の主な担い手には誰がなるか。その家の長男に嫁いできた「嫁」というケースがいまだに多いようである。さらに問題は、その後だ。介護してきた親が亡くなって相続の話になったとき。残された親族の遺産分割において、介護を担ってきた「嫁」はどのような扱いを受けるか。

 「嫁」は法定相続人ではないから、遺産は亡くなった親の配偶者や子供たちで分ける。「嫁」の取り分はない。長男のもらう分に含まれている──というのは、昔の話。2018年、40年ぶりに相続税法が改正されたことにより、こうしたケースで堂々と金銭の請求ができるようになった。

 先の税制改正で、いまや東京近郊に住む人の2人に1人は相続税の課税対象者といわれる。これには住居(土地)の相続が大きくからんでくるが、このあたりも残された配偶者が住み続けることができるように配慮した改正がなされた。

 こうした変更により、今後、親の面倒を見るといったことに関して、家族のありようが良い方に変わることが期待されている。積極的に親の面倒を見ようとする傾向が強まる、あるいは、面倒を見てくれる人との関係を良好にしておこうとするといった具合だ。いずれにせよ、多くの人にとって相続の問題は避けられない。最新の情報をもとに今後の対策を知っておきたい。

 本書の特徴は、よくある相続関連本のような節税テクニックではなく、家族でモメない方法に重点を置いているところだ。著者である税理士法人が担当した9400件以上の事例から導き出される結論は「日頃の気づかいの大切さ」である。たとえば、長男が甥、姪に何かにつけプレゼントを贈っているところはモメないという。

 つまり、いざ親が亡くなって、遺産の話だけをしようとするから「きょうだい」が「利害関係者」となってモメるのであって、日頃から親や兄弟姉妹、自分の配偶者とうまくつきあっておくことが将来のトラブルを減らす。

 また、相続の本番では、長男のリーダーシップが鍵になる。ちなみに、長男の上に姉がいる家族や長男以外が親と同居しているところ、あるいは、親と同居している長男が独身であったり結婚していても子供がいない場合はモメやすいそうだから、該当する人は要注意である。


出版社:青春出版社
書名:やってはいけない「長男」の相続
著者名:税理士法人レガシィ
定価(税込):896円
税別価格:830円
リンク先:http://www.seishun.co.jp/book/20306/

 西日本新聞 読書案内編集部

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