前回の東京オリンピックのころの子どもたちの暮らしは?学年誌復刻シリーズ第3弾

『学年誌が伝えた子ども文化史 昭和30~39年編』ワンダーライフスペシャル著
『学年誌が伝えた子ども文化史 昭和30~39年編』ワンダーライフスペシャル著
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『小学五年生』という雑誌をご存じだろうか。小学館が発行するいわゆる学年誌だ。昭和の時代に子どもだった人なら、自分で買ったことはなくても、一度ならず目にしたことがあるはずだ。本書は大判のムックの形で、学年誌からの記事を抜粋・再構成、解説を加えた文化史である。元が子ども向けだろう、と侮るなかれ。むしろ大人の社会が凝縮されており、かつ楽しい。

実はすでに各方面で話題になっているシリーズで、今回は第3弾となる「昭和30~39年編」。時代は戦後の復興期、高度成長に向かうところ。昭和39年が東京オリンピックだから、そこへ向けて、東海道新幹線開通、東京タワー完成と次々にインフラが整備されていく。当然、学年誌の記事もそれらに合わせたものになっている。本書では、学年誌の名物だった「ふろく」の復刻版として「東京タワー」の組立てふろくが付いている。

「ふろくコレクション」として、写真もいろいろ掲載されている。懐かしいのは、それだけではない。イラストのタッチがいまどきのアニメ調とは異なるので、ホッとする。オリンピック選手の特集では、顔写真だけが切り貼りされ体の部分がイラストになっていて、「あっ、このパターンの記事知ってる」と、うれしくなる。他にも、クイズ、すごろく、学習ドリル形式の記事もあって、学年誌ならではといったところだ。

昭和の子どもが懐かしむだけでなく、平成の子どもが読んでも逆に新鮮だったり、勉強になったりする部分が多いと思う。たとえば、「皇太子さまご成婚」のあった昭和34年は日本でメートル法(計量法)が施行された年であるなど。つまり、それまで人々は尺貫法で生活していたのだ。

当時から見た未来予測の記事もおもしろいが、さらに興味深いのがとじ込みブックとしてついている「大正11~昭和29年編」。『小学四年生』の創刊号では、旧字の「學」が使われており、横書きの「四年生」は右から左に文字がならんでいる。そして、表紙に描かれた男女のなんとも妖しい表情。日本人と西洋人の「けんくわ」(喧嘩)の仕方の違いを紹介した記事もある。本書を読んで、もっと復刻版を出版して欲しいと思わずリクエストしたくなった。

出版社:小学館
書名:「学年誌が伝えた子ども文化史 昭和30~39年編」
著者名:ワンダーライフスペシャル
定価(税込):1,296円
税別価格:1,200円
リンク先:https://www.shogakukan.co.jp/books/09106618

 西日本新聞 読書案内編集部

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