「知ってるつもり」は危険! プロから楽しく学べる「正しい」防災ノウハウ

『自衛隊防災BOOK』マガジンハウス編 自衛隊/防衛省協力
『自衛隊防災BOOK』マガジンハウス編 自衛隊/防衛省協力
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 災害は突然やってくる。傍若無人に、遠慮も忖度(そんたく)もなしにやってくる。そんなことは日本に住む私たちにとって百も承知のはずだ。けれども肝心の防災知識となるとどうだろう。一知半解、「知ってるつもり」でいるのが実情ではないだろうか。例えばあなたは、エレベーターのなかで地震に遭ったときの正しい行動を即答できるだろうか。

 本書にはそのような、いざというときに身を守るためのノウハウが、100のライフハックとしてまとめられている。自然災害だけではない。人災、事故、さらに日常生活にも役立つテクニックまで網羅されている。そしてそれらを教えてくれるのが、「防災と危機管理のプロフェッショナル」自衛隊である。

 といっても本書には、自衛隊という言葉から連想する堅苦しさは一切ない。説明にはすべて写真かイラストが添えられており、またそのイラストが、ちょっぴり脱力系の、ほっこりするようなタッチで描かれているのだ。この種の本にしては珍しく、わかりやすく楽しみながら学べる配慮がすみずみまで行き届いた、子供にもおすすめできる一冊なのである。

 それでいて紹介されているノウハウは、まさにプロ直伝というべき、本格的かつ実践的なものばかり。断水時の節水術、火災時に煙を吸い込まないで移動する方法、非常食をおいしく食べるためのレシピなど、一つひとつに、数多くの災害救助に携わってきた自衛隊ならではの経験が凝縮されている。

 日常生活に役立つノウハウも興味深い。腰への負担なしに重量物を持ち上げる方法はすぐにでも使えるし、定規を使わずに物の長さを測る方法、ストップウォッチなしで正確な時間を計る方法などのアイデアあふれるノウハウは、周りにシェアしたくなることうけあいだ。

 最後に冒頭の質問、エレベーター内で地震に遭遇した際の対処法を本書から紹介しよう。答えは、すべての階のボタンを押すこと。そしてドアが開いた階で降りて、階段で移動すること、である。多くのエレベーターは震度4以上の揺れで自動停止するよう設定されているため、目的の階に着くまで待っていると閉じ込められる恐れがあるからだ。

 「備えあれば憂いなし」とはいうものの、実際の災害では、防災グッズだけで対処できる状況ばかりではないだろう。そしてそのようなときにこそ、本書のような災害を熟知したプロによる「正しい知識」が、なにより心強い「備え」になるはずだ。


出版社:マガジンハウス
書名:自衛隊防災BOOK
著者名:マガジンハウス編 自衛隊/防衛省協力
定価(税込):1,296円
税別価格:1,200円
リンク先:https://magazineworld.jp/books/paper/3010/

 西日本新聞 読書案内編集部

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