人生はいつだってウキウキだ! 年の差66歳の痛快ガールズトーク

『命の限り、笑って生きたい』瀬戸内寂聴、瀬尾まなほ著
『命の限り、笑って生きたい』瀬戸内寂聴、瀬尾まなほ著
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 何歳でも人生は変えられるし、やり直せる。作家の瀬戸内寂聴さんは本書で何度もそう語る。結婚の1回や2回、失敗したってへっちゃらだ。男も女も、ちょっと牢屋に入ったことのある人のほうが面白い。相も変わらず「女性は~」「結婚は~」と、お決まりの幸福像が幅をきかせる息苦しい世の中で、その言葉は力強く響く。

 本書は寂聴さんと秘書の瀬尾まなほさんの対談本である。寂聴さん96歳、まなほさん30歳。祖母と孫でもおかしくない年齢差だ。しかも作家と秘書という関係であれば、どこか遠慮がちな対話になるのが普通だろう。ところが本書は違う。寂聴さんが「まなほはずうずうしい」とからかえば、まなほさんは「足でゴミ箱を蹴飛ばすのはどうかと思う」とやり返す。憎まれ口も暴露話も乱れ飛ぶ。表紙をめくれば、痛快ガールズトークの幕開けだ。

 元気の秘訣、恋愛話、未来の夢。話題は多岐にわたるが、なんといっても驚かされるのが寂聴さんの好奇心と行動力だろう。若者に人気と聞けばインスタグラムを始めてみる。安保関連法案反対のデモや集会が行われると知れば、仕事を放棄して車椅子で参加する。

 寂聴さんは言う。「青春は恋と革命だ!」新しいことに挑戦する。おかしいと思ったら「おかしい」と声に出す。そこに年齢なんて関係ない。だから90歳を過ぎた現在も若々しいのだ。

 まなほさんだって負けてはいない。就職活動で挫折した彼女を変えてくれたのが、寂聴さんとの出会いだった。寂聴さんが暮らす寂庵に就職すると、何十年も続いていた質素な朝食に、デニッシュパンやカオマンガイを導入して革命をおこす。「秘書のくせに」と批判を浴びてもエッセイを出版し、講演にテレビ出演にと飛び回る。伝統だから、秘書だから、と決められたやり方を守り続ける必要なんてないのだ。

 かつて寂聴さんが小説『美は乱調にあり』で描いたアナーキスト、伊藤野枝は世の女性に「もっとわがままに生きよ!」と説いた。本書で寂聴さんもこう語る、「私は女が自由になるようにと思って小説を書いてきた」と。

 オンナの人生はケモノ道。不満もストレスも上等だ。腹が立ったらモノに当たろう。辞書でもなんでも投げてやろう。ただし寂聴さんのオススメ通り、いちばん丈夫な『広〇苑』にしておこう。そしていつでも人生にウキウキしていよう。その秘訣は本書に書いてある。年齢を問わず、“戦場のガールズライフ”を生きるすべての女性に贈りたい一冊だ。


出版社:光文社
書名:命の限り、笑って生きたい
著者名:瀬戸内寂聴 瀬尾まなほ
定価(税込):1,404円
税別価格:1,300円
リンク先:https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334950583

 西日本新聞 読書案内編集部

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