これで聖書はこわくない! ゆるキャラ、ゆる家事ならぬ「ゆるキリ」本

『上馬キリスト教会の世界一ゆるい聖書入門』上馬キリスト教会著
『上馬キリスト教会の世界一ゆるい聖書入門』上馬キリスト教会著
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 聖書に興味はあっても、そのあまりの長大さと難解さに挫折したという人に、絶好の一冊が登場した。

 キリスト教に「親しんでもらう」ことをコンセプトに書かれたという本書。旧約・新約それぞれの要約に始まり、用語解説、登場人物紹介など、聖書の内容がコンパクトかつ「ざっくり」(本書より)とまとめられている。著者として記載されている「上馬キリスト教会」は、東京都世田谷区にあるメソジスト系単立教会。実際の執筆は同教会の信徒であり、フォロワー9.5万人超のTwitterアカウントも運営する2人の「中の人」が担当している。

 タイトル通り、文章もイラストもゆるい。福岡が誇るゆるキャラ、エコトンも真っ青のゆるさである。「世界一」とまでの確証はないが、聖書について書かれた本に「イエスまじ神」という軽薄な言葉や、「あーくそ また海 割ったろかな」とブチ切れるモーセのイラストが添えられることなどかつてなかったのではないか。聖書の高すぎるハードルを、無理して越えようとせず、堂々と下からくぐりぬけるような痛快さがある。

 イエスをはじめ、ソロモン、サロメ、ペテロ、ユダなど、そうそうたる人物たちのゆるいエピソード紹介も魅力だ。たとえば、キリスト教を完成させた人物とされているパウロ。稀代の筆まめで知られ、新約聖書の約半分を占める手紙を書いた彼を、著者は「やたら長文のLINEとかメッセンジャーとかを送りつけてくるめんどくさい人」と紹介する。読者はそれぞれ、「ああ、〇〇部長みたいな感じね」と周囲の人間に置きかえる。名前だけしか知らなかった登場人物たちをグッと身近に感じられるというわけだ。

 さらに本書は、キリスト教と聖書に対する誤解や思い込みも解いてくれる。クリスマスはキリストの生誕日ではないこと。祈りのあとに唱える「アーメン」に宗教的意味はなく、現代でいう「それな」「そだねー」といった、同意をしめす言葉であること。「キリスト教は進化論を否定しているんですか?」というなかなか際どい質問にも真摯に答えている。

 聖書をわかりやすく解説してくれる本なら他にも数多く存在するだろう。しかし、本書ほど「聖書を読みたい!」と思わせてくれる本はなかなかないのではないか。ぜひ一度、ざっくりとでも目を通してほしい。きっと「それな」、もしくは「そだねー」と同意していただけるはずだ。"


出版社:講談社
書名:上馬キリスト教会の世界一ゆるい聖書入門
著者名:上馬キリスト教会
定価(税込):1,404円
税別価格:1,300円
リンク先:http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000315393

 西日本新聞 読書案内編集部

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