「老い」を恐れることなかれ! 阿川佐和子の魅力が詰まったエッセイ集

『いい女、ふだんブッ散らかしており』阿川佐和子著
『いい女、ふだんブッ散らかしており』阿川佐和子著
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 女性誌『婦人公論』の人気連載エッセイがついに書籍化。同誌は、自分が主人公の人生を送る40~50代の女性たちを想定読者層とした、知的で骨太な女性誌だ。チャーミングで、時に竹を割ったようなストレートで鋭い物言いが人気の著者・阿川佐和子は、読者世代のあこがれの対象である。タイトルは、江戸川柳の「よい女ふだんぶっ散らかしている」に由来する。収録されている「いい女の条件」で、とある紳士が著者に整頓下手であろうと指摘、著者はうろたえながらも片付け下手を自認する。この片付け下手は他編でも種族に分けて紹介されているから面白い。

 歯切れのよい言葉と軽快なテンポで、ともすれば暗くなりがちな話題も鬱々とせず読みやすい。「さようならのあとに」で、94歳の父を看取るも悲しみに浸る間などまったくなく、諸々の手続きに追われる様子がコメディのようで笑いがこぼれる一方、葬儀や埋葬の手続きなど参考になる面もある。「床族」では、何でも床に積んでしまう、大事なものを本能的に床に置きたがるのは背が低いからだと主張し、「生涯に一度くらい、床になにも置いていない生活がしたい」という言葉が読者の笑いを誘う。

 インタビュアーとしても、作家としても活躍を続け、40代で雑誌対談を開始、50代で冠番組の『サワコの朝』をスタートし、還暦を前に上梓した『聞く力――心をひらく35のヒント』(文藝春秋)は170万部を超えるベストセラーになった。その後、両親の介護を担いつつ、ドラマ出演、新聞小説の執筆など新しいことにも果敢にチャレンジ。2017年には、63歳にして人生初の結婚もして、全方面で充実期を迎えている。年を重ねるごとに輝く力を増すのはなぜか。本書を読めば、なるほど、となる。著者の自分の気持ちに素直に生きる様がうかがい知れる。年齢に関係なく華麗にかつ美しく、若々しく活躍するとはこういうことか。自らを高齢と称し、いつまでも落ち着かないと嘆く著者だが、落ち着いた女性になどならずブッ散らかし続けてほしい。その姿から得も言われぬ勇気をもらう読者も多いだろう。


出版社:中央公論新社
書名:いい女、ふだんブッ散らかしており
著者名:阿川佐和子
定価(税込):1,296円
税別価格:1,200円
リンク先:http://www.chuko.co.jp/tanko/2019/01/005156.html

 西日本新聞 読書案内編集部

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