ブレない自分をつくり人生の危機を乗り越えることも可能にする読書術

『人をつくる読書術』佐藤優著
『人をつくる読書術』佐藤優著
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 著者は毎日約1万2000~1万6000字(原稿用紙にして30~40枚)の原稿を書く。そのために、毎日10~20冊の本を読むのだという。これほどの量を読むのは読書家でもなかなか大変だろう。どうすれば、このようなことが可能か。著者には「速読」「超速読」という技あって、1冊30分ないし5分で読んでしまう。しかし、その速読を可能にしている土台は「精読・熟読」なのだという。著者の実践している方法がすごい。

 基本的には3回読むのだが、第1読は線を引きながら通読する。第3読になると、結論部分だけを3回読む。その上で通読する。第3読だけで3~4日かける。では、第2読はどうなっているのかというと、全体の10分の1ほどの重要箇所をノートに書き移していく。文字数にして2万字(原稿用紙50枚)程度。ここまですれば、どんな難解な本も頭の中で整理され、記憶に定着するという。

 本書の眼目は、こうした読書術を駆使して、どのような本をどのように読んでいくかという点ある。作家、外交官、教育者といった多彩なキャリアをもつ著者が人生のさまざまな場面で出会った本を中心に語るスタイルがとられている。

 外交官時代の内幕もおもしろいが、それと関連して読書をする上でのコツやおすすめ作品が紹介されている。たとえば、
「基本書は奇数冊購入して多数決をとる」
「スパイ小説で人を見抜く力が磨かれる」
といった具合だ。そのスパイ小説の項では、定番のジョン・ル・カレ以外にグリーンの『ヒューマン・ファクター』が挙がっていることに気づけば、佐藤氏のセレクトは信用できそうだとわかる人だろう。

 エンタメ本だけでなく、ドストエフスキーのような文学作品や古典、哲学書まで扱っている範囲は幅広い。このような本の読み方をしていれば、危機にあってもブレずに自分をしっかり持つことができるということがよくわかる。


出版社:青春出版社
書名:人をつくる読書術
著者名:佐藤優
定価(税込):950円
税別価格:880円
リンク先:http://www.seishun.co.jp/book/20742/

 西日本新聞 読書案内編集部

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