大学入試レベルの教養があるか?現代人向けにアップデートされた知識が身につく教科書

『世界でいちばんやさしい 教養の教科書』児玉克順/著 fancomi/絵
『世界でいちばんやさしい 教養の教科書』児玉克順/著 fancomi/絵
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 教養を身につけるための本が増えている。本書もそうした1冊で、ふんだんにイラストが使われており、初学者にもわかりやすくまとめられている。それだけならいまどき珍しくないが、広範な知識を現代人向けに整理しているのが特徴だ。いまを生きるのに知っておきたい思想や現象に重点を置き、他は大胆に省略されている。結果として、各分野のトピックや関連性が端的に理解できる。その要点の絞り方に本書の独自性がある。

 まず、第1章の歴史の流れを解説したパートでは、中世以前を1項目にまとめるという大胆さだ。続いて近世を1ページで説明し、その後「デカルトとニュートン」という独立した項目を設けている。

 「17世紀になって、西欧世界は大きく変わりました。きっかけは、デカルトとニュートンといわれています」

 といった形で各分野の教養がストーリーとして学べるようになっている。人名やキーワードには番号が振られ、掘り下げた解説が別のページでなされている。加えて、第2章の哲学のところで再びデカルトが登場するなど、重層的反復的に学べるようになっている。

 第3章は「言語」と題され、通常、哲学のくくりに入れられてしまいがちなソシュール言語学の基礎が解説されている。デカルトやヘーゲルまでは知っていても、ソシュールとなると簡潔に説明できるか怪しい読者も多いだろう。

 本書はもともと、大学入試の難解な評論文を読み解くための解説が土台になっているので、そうしたときに必要な背景知識への言及が豊富である。第6章「経済」のパートでは、リーマンショックに1項目が割かれており、日本史のパートではバブル経済や失われた20年に触れられている。第5章の「文化」や第7章の「社会」では、SNSやネットにおける共同体主義も扱っている。このように、現代的、実用的な教養が網羅されているのだ。

 社会はどんどん変化し、かつての常識も最新の研究で覆される。自分に教養があると思っている人も、最新の知識にアップデートしていかなければならない。そういう意味でも、社会人の学び直しにうってつけの内容だ。


出版社:学研プラス
書名:世界でいちばんやさしい 教養の教科書
著者名:児玉克順/著 fancomi/絵
定価(税込):1,620円
税別価格:1,500円
リンク先:https://hon.gakken.jp/book/1340669500

 西日本新聞 読書案内編集部

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