【ひと】第40期西日本久留米王位戦で優勝した早咲誠和さん

第40期西日本久留米王位戦で優勝した早咲誠和さん
第40期西日本久留米王位戦で優勝した早咲誠和さん
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 戦いを終えて、しみじみと口にした。「決勝をやってもやっても負けてしまって…。優勝の味を忘れてましたね」。13年ぶりの栄冠で、優勝回数を大会史上最多の5回に伸ばした。

 昨年涙をのんだ相手、後藤弾さん(40)と向き合った決勝。「読みの射程圏が広い人。相手の長所にのまれないように」と慎重に一手一手を指し、審判長の豊川孝弘七段が「どちらが勝ってもおかしくない、すさまじい将棋」と評する熱戦を制した。

 タイトルに彩られた将棋人生だ。史上最多4回を誇る全日本アマ名人をはじめ、全国アマ竜王、全国支部名人なども複数回。アマ将棋界を代表する強豪中の強豪だが「プロを時々倒すアマチュアでいい。プロ入りは考えたこともなかった」と謙遜する。

 1988年、14歳の中学3年生の時に初めて宗像王位戦(西日本久留米王位戦の前身)の大分県代表になった。一時期、後進に代表枠を譲るため予選を辞退した時期もあったが、「思い出もあるし、活気のある大会。やっぱり自分で頑張りたい」と復帰した。

 それでも「優勝」は遠かった。前回優勝後、準優勝が5回。今年は「自分も思い切って新しいことをやろう」と“企業秘密”の研究に取り組んだという。執念でつかみ取ったトロフィーだ。

 大分市の自宅には、九州各地から若手が集う。「教える側がぶれてしまえば見抜かれる。彼らに説明責任が果たせる手を、今大会では指したつもりです」。アマ将棋界の旗手は、歩みを止めない。大分大学職員。43歳。

=2017/05/15付 西日本新聞朝刊=

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