江原道(韓国) 五輪の舞台は歴史も豊か

海に面して建つ洛山寺。日の出の名所としても人気という
海に面して建つ洛山寺。日の出の名所としても人気という
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ゆるやかな弧を描く瓦屋根など伝統的な家屋の姿を伝える「烏竹軒」
ゆるやかな弧を描く瓦屋根など伝統的な家屋の姿を伝える「烏竹軒」
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雪岳山の展望スペースでは断崖での記念撮影も人気
雪岳山の展望スペースでは断崖での記念撮影も人気
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薄く切ったマツタケと野菜を一緒に煮込んだ郷土料理店「ソンイゴル」の鍋
薄く切ったマツタケと野菜を一緒に煮込んだ郷土料理店「ソンイゴル」の鍋
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平昌五輪のスキージャンプ台。周辺の競技場も着々と建設が進む
平昌五輪のスキージャンプ台。周辺の競技場も着々と建設が進む
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 来年2月の開幕まで半年を切った平昌(ピョンチャン)冬季五輪・パラリンピック。開催都市がある韓国東北部の江原道(カンウォンド)は、国内有数の自然に抱かれ、人気のリゾート地だ。雪上競技が開催される平昌郡や近隣の江陵(カンヌン)市、襄陽(ヤンヤン)郡には、朝鮮半島の歴史を伝える史跡や、特産のマツタケに代表される豊かな味覚がふんだんにある。直行便が北九州空港(北九州市)から飛ぶ江原道を訪れた。

 北九州からの便が着くのは襄陽郡の襄陽国際空港。そこから南へ約40キロ。郡の南隣に位置する江陵市に向かった。同市の歴史は古く、韓国の5千ウォン紙幣に描かれている儒学者栗谷李珥(ユルゴクイイ)(1536~84)と、その生母で5万ウォン紙幣の申師任堂(シンサイムダン)(1504~51)の旧宅「烏竹軒(オジュッコン)」がある。福岡県太宰府市の太宰府天満宮のように、多くの修学旅行生が訪れるスポットになっているという。

 敷地内の記念館では2人の書画を展示。国防長官に当たる役職に就くなど、朝鮮王国で政治家としても活躍した栗谷李珥と、彼を育てた申師任堂は、それぞれ「民族の師匠」「民族の母」として、儒教が根付く韓国で今も尊敬を集める。伝統的な家屋の姿を伝える点でも貴重な史跡という。

 「申師任堂は子どもに勉強させる前に自分が勉強したという話が伝わるほど、背中で教育する人でした」と、江陵に住んで20年という観光ガイドの本田和子さん(50)。本田さんは「江陵は韓国内でも一番空気がきれいだと思う。最近、日本人の観光客も増えてきました」と教えてくれた。

 美しい風景も魅力だ。

 襄陽郡の洛山寺(ナクサンサ)は7世紀の創建。伝統的に山寺が多い韓国で、海岸に面して建つ珍しい寺院だ。火災に見舞われるたびに再建を重ねてよみがえったこともあり、パワースポットとしても人気という。境内は岩の上に位置し、波が打ち付ける景色は壮観だ。

 襄陽郡の北、束草(ソクチョ)市には、韓国の名峰「雪岳(ソラク)山」(1708メートル)がそびえる。ケーブルカーで行ける展望台にはごつごつした岩肌が広がり、断崖絶壁から谷底を見下ろすと思わず足がすくむ。紅葉の季節は観光客でにぎわうという。

 襄陽郡は、韓国随一のマツタケ産地としても知られる。専門料理店「ソンイゴル」の自慢は、薄く切ったマツタケをたっぷり入れ、野菜と一緒に煮込んだ鍋だ。辛い韓国料理のイメージとは違い、優しいマツタケの風味が口に広がる。プルコギや炊き込みご飯も、もちろん人気だ。

 五輪ではスキー競技などが繰り広げられる平昌郡。誘致を見越して建設されたスキージャンプ台の周囲は、ホテルや会員制ゴルフ場、スキー場が並ぶリゾート地だ。ジャンプ台には高さ約70メートルの展望室を備えており、観光コースに組み込まれている。10年以上前の用地買収時から事業に関わる江原道開発公社の崔一弘(チェイルホン)課長は「ジャンプ台と展望台の組み合わせなんて他にないでしょう」と胸を張る。

 周囲を見渡すと、鮮やかな緑色の山並みに瀟洒(しょうしゃ)なホテルが立ち並び、風が吹き抜ける。リゾート地の真ん中に競技施設を造ったのは、五輪後の活用を見通してのこと。崔課長は「周辺のスキー場やゴルフ場と一体的に活用して、五輪後も維持費を生み出せたらと思う」と説明した。

 ソウルや釜山とは一味違う雰囲気の江原道。五輪開催で活気を帯び、気軽に足を延ばせるリゾート地として注目が集まりそうだ。

 ●メモ

 韓国で2番目に広い面積を有する江原道は人口156万人。7市11郡が、日本の「県」に相当する「道」を構成する。山岳地帯が大部分を占める自然豊かな地域で、北端は北朝鮮との間に設定された非武装地帯(DMZ)に接している。

 冬季五輪開催地の平昌郡は、日本で韓流ブームを巻き起こした「冬のソナタ」の撮影が行われるなど、ドラマや映画のロケも盛んだ。北九州空港から襄陽国際空港への直行便は週3往復(火・木・日)ある。韓国観光公社福岡支社=092(471)7174。

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 ●寄り道=海岸にカフェ30軒

 江陵市の東にある「安木(アンモク)海岸コーヒー通り」=写真=は、若者に人気のスポットだ。東海を見渡す海岸線に、約30軒のコーヒー店が並ぶ。チェーンの「スターバックス」もあるが、ほとんどが個人で経営している店舗だ。

 2000年ごろからコーヒー工場やカフェが増え始め、市内全体で約260店のカフェがあるという江陵市。安木海岸コーヒー通りでは、どの店も海に向かった窓が大きく、コーヒーを味わいながら、海を眺めてくつろげる造りになっている。

 海をバックにコーヒーとスイーツを写真に収めれば「SNS映え」する光景に。店内では、スマートフォンでしきりに写真を撮る客の姿が見られた。


=2017/11/06 西日本新聞=

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