桜島(鹿児島県) 冬の威容 新しい魅力

桜島は鹿児島市中心部から、フェリーでわずか15分
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「海藻のミネラルが効いて甘いんです」と無農薬の桜島小みかんについて話す村山さん
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赤水展望広場の一角に設置されたモニュメント「叫びの肖像」
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モニュメント「叫びの肖像」の説明版には長渕剛のオールナイトコンサートを伝える写真も
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コース料理「地魚まつり 六白黒豚料理」に舌鼓を打つ女性客
コース料理「地魚まつり 六白黒豚料理」に舌鼓を打つ女性客
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 NHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」の放映に伴い、観光客の誘致に力を入れる鹿児島市。雄大で、地元の人々の精神的な支柱でもある桜島は、古くて新しい観光スポットだ。市中心部から錦江湾を隔てて、わずか4キロ。冬の桜島を巡った。

 JR鹿児島中央駅から鹿児島港へは、タクシーで10分余。ここから桜島港のターミナルを結ぶ市の桜島フェリーは「生活の足」。所要時間は15分で、24時間運航する。この定期便とは別に、桜島に渡るまで錦江湾一帯を周遊し、海上から風景を身近に楽しめる50分間の“プチクルーズ”がある。「よりみちクルーズ」。2011年に運航が始まり、外国人に好評という、この船に乗った。天気が良ければ鹿児島の“三大火山”桜島、霧島、開聞岳を眺望できるといい、恋人と乗船していたパリのエンジニア、ガエル・エレオンさん(30)も「ナポリを思い出すよ」と満足そう。

 桜島港に到着。特産品「桜島小みかん」を無農薬栽培し、地元で話題になっている島北部の村山利清さん(71)の農園へ向かった。桜島小みかんは重さ40~50グラム、直径は5センチ未満と極小サイズで、甘みが強い。名物桜島大根ほどではないが、昔から人気だという。村山さんは目の前に広がる錦江湾の海藻ホンダワラを春に採取、干して堆肥の代わりに敷き詰める。「海藻のミネラルが効いて、さらに甘みが増すんです」。試食すると、口の中で、さわやかな甘みが広がる。眼下の錦江湾からの風がほおをなでた。

 島西部の赤水展望広場に行く。04年、ここで歌手長渕剛のオールナイトコンサートが開催された(当時は採石場跡地)。全国から集まったファンは7万5千人に上り、会場は熱気に包まれた。広場の一角には、高さ3・4メートルものモニュメント「叫びの肖像」がある。コンサートに感動した人たちが呼び掛け、企業・団体の協力を得て彫刻家大成浩氏が06年制作。約50トンもの溶岩を使ったという。コンサートの熱気をほうふつさせる圧巻の外観で、「インスタ映え」の撮影スポットでもある。

 宿泊は桜島港の近くの国民宿舎「桜島マグマ温泉 レインボー桜島」。夕食は支配人代行、〓原(しのはら)臣さん(36)のお薦めコース料理「地魚まつり 六白黒豚料理」を味わった。錦江湾で捕れるカンパチ、キビナゴ、マダイなど8種のお造り、カニとエビのパイ包み、黒豚のすき焼き鍋など豪華なメニューが次々テーブルに。このコース料理と組み合わせた1泊料金が1人1万3400円(税込み)という“お手頃価格”で驚いた(2月末までの限定プラン)。生まれも育ちも桜島という〓原さんが「冬場に観光客を呼び込め」と地元の幸を生かした企画を練ったという。夜は茶褐色の湯の「桜島マグマ温泉」に漬かって、ゆったりまったり。充実した冬の桜島行だった。

 ※〓は「たけかんむり」に「条」

 ●メモ

 鹿児島港の桜島フェリーターミナルへは鹿児島中央駅からバスかタクシーで10~15分▽「よりみちクルーズ」は1日1便。午前11時5分、鹿児島港を出港。大人500円。同港乗船券発売所=099(223)7271▽桜島で周遊するには、赤水展望広場や島内で一般の人が立ち入り可能な最高地点(標高373メートル)の湯之平展望所など西部のスポットを回る循環バス「サクラジマアイランドビュー」(1日8便)が便利。鹿児島市交通局バス事業課=099(257)2117▽国民宿舎「桜島マグマ温泉 レインボー桜島」=099(293)2323。

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 ●寄り道=「幕末・維新」を案内

 西郷どんが活躍した幕末や明治維新の跡をたどるには、やはり鹿児島市内。話題なのが、この時代の解説に特化した女性の観光ガイド「薩摩こんしぇるじゅ」。4年前、行政の補助を受けて民間企業が組織した。20~40代の主婦や大学生などが登録する。「お堅い歴史話をソフトに解説してくれるし、何より華やか」と観光客に好評だ。

 変わり種は、北海道帯広市出身の大橋麻紀さん(37)=写真。観光添乗員として全国を回ったが鹿児島だけは経験がなく、一念発起して移住。「こんしぇるじゅ」に応募した。「維新の歴史に魅せられた、自分の感動を生で伝えていけたら」と張り切っている。

 「天文館 維新への道コース」から「天文館の歴史とグルメ満喫コース」まで6コース。いずれも2時間程度で、ガイド料は2500円。ミエルカ=099(227)1020。

=2018/02/26付 西日本新聞夕刊=

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