カルロビバリ(チェコ)〈上〉 内側から癒やす温泉街

川からは湯気があがり温泉街の風情を漂わせる
川からは湯気があがり温泉街の風情を漂わせる
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コロナーダで温泉を楽しむ親子連れ
コロナーダで温泉を楽しむ親子連れ
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街中には間欠泉が噴き出している場所もあった
街中には間欠泉が噴き出している場所もあった
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焼きたてのお菓子「スパワッフル」の香ばしいにおいが食欲をそそる
焼きたてのお菓子「スパワッフル」の香ばしいにおいが食欲をそそる
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取っ手がストローになったスパカップ
取っ手がストローになったスパカップ
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モーゼルの工場でガラスの成形を行う職人
モーゼルの工場でガラスの成形を行う職人
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 チェコでの旅行先といえば首都プラハが思い浮かぶ。記者も20年ほど前、1度だけチェコを旅した。その時、訪れたのもプラハだけだった。今回は2度目のチェコ。せっかくならと地方へ足を延ばしてみた。

 まずはプラハから西へ約130キロ離れたカルロビバリに向かった。地名は「カレルの温泉」との意味。14世紀中頃、神聖ローマ皇帝のカレル4世が狩猟中に温泉を発見したとの伝説がその由来という。10以上の源泉があり、かつてはゲーテやベートーベンも通ったヨーロッパ有数の温泉保養地として知られている。

 リゾート地は街並みから違っていた。赤い屋根と白い壁が連なるプラハとはうって変わって、建物はパステルカラーで彩られている。路上で売られている円形の薄焼きお菓子「スパワッフル」は、小浜温泉(長崎県雲仙市)の「湯せんぺい」にそっくり。間欠泉が噴き上がる場所もあり、いかにも温泉街。ところが「さあひとっ風呂」とはいかない。ここでは「入る」より「飲む」温泉が一般的なのだ。

 見渡すと観光客の多くが磁器カップを手にしていた。「スパカップ」と呼ばれ、取っ手部分がストローになっている。中心部を流れるテプラー川沿いにはコロナーダ(飲泉所)があり、蛇口からわき出るお湯をカップに注いで飲むのがカルロビバリ流の楽しみ方だ。

 さっそく試してみた。熱々の温泉は鉄の風味が強く、後から塩味が追いかけてくる。正直おいしくはない。が、現地ガイドいわく「消化器系に良いですよ」。そう聞くと味は気にならなくなった。いくつかのコロナーダに寄っては温泉を口に含んでいく。炭酸を感じられたり、温度が違ったりと違いも楽しめた。

 「チェコも日本も変わらない」。そう思わせてくれるものもあった。まずはケーブルカーだ。街の端っこに乗り場があり、標高550メートルほどの丘の上にある展望台まで連れて行ってくれる。眼下には先ほどまで歩いてきた街が広がり、森に囲まれた谷あいの小さな街ということを実感させてくれた。映画祭もある。チェコ最大の「カルロビバリ国際映画祭」は夏の恒例行事。大分には湯布院映画祭、佐賀には古湯映画祭もある。温泉地に映画祭が似合うのはなぜだろうか。

 お土産には「ベヘロフカ」をお薦めしたい。20種以上のハーブや香辛料を使った薬草酒で、200年以上前からこの地で作られている。“もう一つの源泉”との異名を持ち、温泉同様こちらも胃腸に効くらしい。

 ショットグラスに注いだベヘロフカを飲んだ。アルコール度数は38度と高いが、甘みもあって飲みやすく、旅の暴飲暴食で疲れ気味の胃がリフレッシュされた気分になる。まさに内側から癒やしてくれる温泉街だった。

 ●メモ

 チェコは人口約1060万人(2017年)で、面積は日本の約5分の1。日本からの直行便はなく、ドイツのフランクフルト、フィンランドのヘルシンキ経由などを利用。東京から最短、13時間程度で到着する。カルロビバリの人口は約5万人。プラハからカルロビバリへはバスが便利。所要時間は約2時間10分。

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 ●寄り道=ボヘミアンガラスの工場

 カルロビバリは、世界的に有名なボヘミアンガラスメーカー「モーゼル」の創業地としても知られる。現在も本社工場、ミュージアムがあり、見学できる。

 古くからガラス工芸が盛んだったボヘミア地方。なかでも1857年創業のモーゼルは、その品質と芸術性で評価が高い。成形、カット、彫刻、彩色に分かれた工程をそれぞれの専門職人が手作業で行うのが特徴で、工場ではその一端を見ることができる。

 24時間体制で稼働する工場内は、窯やガラスを溶かすバーナーの火で熱気むんむん。隣接するミュージアムには繊細できらびやかな職人技の結晶が並び、しばし時を忘れてしまうほど。

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 ★取材協力・チェコ政府観光局

=2018/04/25付 西日本新聞夕刊=

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