沖縄 米国に一番近い島

辺野古の美しいビーチの向こうで工事が進んでいた
辺野古の美しいビーチの向こうで工事が進んでいた
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「A&W」のハンバーガーと不思議な味のルートビア
「A&W」のハンバーガーと不思議な味のルートビア
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「コザ」の老舗人気店「チャーリー多幸寿」のタコス
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「ステーキハウス88」のテンダーロインステーキは肉汁たっぷり
「ステーキハウス88」のテンダーロインステーキは肉汁たっぷり
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金武町の「新開地」には外国人の姿もちらほら
金武町の「新開地」には外国人の姿もちらほら
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壺屋やちむん通り 窯元が集まる壺屋やちむん通り。屋根の上にシーサー
壺屋やちむん通り 窯元が集まる壺屋やちむん通り。屋根の上にシーサー
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 沖縄出張の空き時間。どう過ごすか悩んでいると、仕事で知り合った沖縄大学の組原洋名誉教授からお誘いを受けた。「どこでもお連れしますよ。まずは目的地を決めましょう」

 組原さんの車が滑り込んだ店は、那覇市内の「A&W」。ガソリンスタンドとハンバーガーショップが一体化し、まるでアメリカ。沖縄の人たちは「エンダー」と呼び、店内ではおじいも、おばあもハンバーガーにかぶりつく。

 ここで組原氏の友人で児童文学作家の野里寿子さん(69)が解説役として合流した。薬草のような、消毒液のような不思議な味の「ルートビア」を味わいながらの作戦会議。この日は米施政権下から沖縄が本土復帰した5月15日が近いこともあり、テーマは「沖縄と米国文化」に決めた。

 最初に向かったのは「コザ」。島中央部に位置する県内第2の都市・沖縄市の繁華街だ。米空軍嘉手納飛行場の「門前町」で陶器店経営の普久原朝仁さん(67)が「復帰前からブティックが並び、那覇市よりもにぎやかな街だった」と教えてくれた。

 「でも、これが現実」と野里さん。シャッターが目立つ通りを歩きながら、野里さんが解説してくれた。「最近は外出が厳しくなって」。基地の動向に左右され、かつてのにぎわいが失われたのだという。

 その中に、次々に人が吸い込まれていく店があった。1956年創業の老舗タコス専門店「チャーリー多幸寿」。米軍公認レストランとして繁盛し、その人気は健在だ。注文したタコス(1人前3個セット690円)は皮はしっとり香ばしく、ひき肉とキャベツ、ピリ辛ソースが絶妙。あっという間に平らげ、もう1人前追加した。

 次は米海兵隊基地「キャンプ・ハンセン」の門前町、金武町「新開地」。コザよりは米国人の姿が多いが、それでも閑散としている印象だ。駐車場経営の女性(90)は「昔は米兵で道路が埋まった。今はどこも赤字」とため息。日陰で涼んでいた男性は「みんなシリアに行ったよ。イランもあるし」。世界情勢と直結しているとあらためて実感させられた。

 「海を見ますか」。組原さんはビーチに連れて行ってくれた。梅雨入りしていたが、この日は晴れ。空も、海も青く、しばらく見とれていた。「堤防の先まで行くと、もっとよく見えますよ」。美しい名護市辺野古の海では、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設に向けた工事が進んでいた。

 近くには米海兵隊基地「キャンプ・シュワブ」があり、小さな門前町「辺野古社交街」がある。古いコンクリートがもの悲しい。「飛行場ができれば栄えるかもしれないが、基地依存が何を招くのかも、沖縄は知っている」と野里さん。「とはいえ、どんな文化も吸収し、同化するのが沖縄。だから、アメリカ文化も私たちの文化の一部。子どものころに初めて食べたブルーシールアイスクリームの味、今も覚えてますよ」

 旅の終わり、那覇市の「ステーキハウス88」でテンダーロインステーキをほおばり、オリオンビールをぐびり。アメリカンレトロな店内には、米軍公認の証し「Aサイン」が誇らしげに掲げられていた。

 ●メモ

 那覇空港へは九州各県から直行便がある。空港到着後は沖縄都市モノレール「ゆいレール」が便利。観光地の国際通りに近い「県庁前」まで約13分。料金は大人260円、子ども130円。首里城に行くなら「首里」まで27分。料金も大人330円、子ども170円とお手頃。

    ×      ×

 ●寄り道=壺屋やちむん通り

 沖縄の方言で焼きものを意味する「やちむん」。琉球王府が1682年、各地に散らばっていた陶工を壺屋に集め、産業振興を図ったのが壺屋焼の歴史のはじまりという。観光客でにぎわう那覇市の繁華街・国際通りからも徒歩圏内。散策にぴったりだ。軒を連ねる窯元を訪ねたり、喫茶店で一息ついたり。お気に入りの器を探しながら、あちこちの屋根の上に置かれたシーサーのやちむんを見つけるのも楽しい。通りには那覇市立の壺屋焼物博物館もあり、歴史を学ぶこともできる。

=2018/06/06付 西日本新聞夕刊=

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