教員免許、小中学校の同時取得ダメ?学生から不満 福岡の教育大「意図的に取りづらくした」

福岡教育大の2018年度の受験生向け入学案内
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 「小学校と中学校の教員免許が同時に取れなくなり、困っている」-。福岡教育大(福岡県宗像市)の学生から、そんな声が特命取材班に寄せられた。2016年度から大幅にカリキュラムを変更し「意図的に取りづらくした」(同大)という。小中一貫教育の推進が叫ばれる中、あえて逆行するような改革。九州を代表する教員養成の拠点で何が起きているのだろう。

 「小、中学校、両方の教員免許を取りたい。取れないのなら、入学前にきちんと説明してほしかった」。同大の初等課程2年の女子学生(20)は唇をかむ。初等は小学校教員を主に養成する課程だが、卒業生の多くは中学校の教員免許も同時に取っている。

 同大によると、初等課程で、中学の免許を取得するために選択可能だった専門科目を減らした。学生には十分周知されておらず、別の2年生の女子学生(20)も「小学校と一緒に中学校の国語も取りたかったけれど、無理だと言われて諦めました」と話す。

 不満の声は同大の教員にもある。50代の女性教員は「今必要なのは小中高を見通した教育で、小学校では英語の専科教員を増やす流れもある。教科に関する勉強を軽視しすぎだ」。50代の男性教員は、中学の免許が取れないのなら課程を移りたいという学生の相談が複数あると話す。

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 「九州を中心に高校を100校以上回って改革を説明した。周知はしたつもりですが…」。そう言葉を濁した同大の宮内健二副学長。改革の意図を問うと強調した。「小学校の専門家を育てるためです」

 重視したのは、小学校現場の声という。「教科の知識よりも、クラスをまとめる力、地域や保護者との連携力を持つ先生が求められている」。小学校教育に必ずしも直結しない専門科目を減らし、フィールドワークや学級運営、人権、食育といった科目を増やした。

 宮内副学長は言う。「多く免許を取ればいいというわけではない。小学校教員の即戦力を育てるカリキュラムに変えたわけです」

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 背景には、少子化という逆風が吹く中、教員養成機関としての切実な事情もある。同大の16年3月卒業生の教員就職率(非正規を含む)は61・4%。全国の教員養成の単科大学と比べ、決して高くない。

 学校現場は今、定年退職者の増加に伴い教員の大量採用時代を迎えているが、来年には採用数は減少に転じる。教員就職率90%を目標に掲げる同大にとって、大胆な改革は、より多くの教員を送り出すための挑戦といえる。「採用の募集枠が大きい小学校教員に絞る狙いではないか」(同大教員)との見方もある。

 教員養成課程を持つ国公立大学は計44校。文部科学省の担当者は「福教大のような取り組みは聞いたことがない」という。

 ただ、迷いも透ける。16年度に小中連携教育コースを新設し、複数の免許を取れる佐賀大教育学部の関係者も「本当は小中高、それぞれに特化した教員を育てたいが、学生の選択肢を狭めるわけにはいかないので…」と打ち明ける。

 「現場に必要とされる教員を育て、教員就職率を上げたい」と宮内副学長は言う。独自性が際立つ福教大の改革は奏功するのか。

 国公立大入試の2次試験の願書受け付けは31日まで。新しい課程で学んだ学生たちが教壇に立つ時、改革の真価が問われる。

=2018/01/26付 西日本新聞朝刊=

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