「野菜泥棒やめて」盗難相次ぎ農家憤り 高騰の影響か

窃盗被害にあった畑。段ボールには「農作物を盗らないで」の文字が=25日、福岡県糸島市志摩久家
窃盗被害にあった畑。段ボールには「農作物を盗らないで」の文字が=25日、福岡県糸島市志摩久家
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 「近所の畑で野菜泥棒がありました。プロの犯行では、とみんな怖がっています」。福岡県糸島市の40代女性から無料通信アプリLINE(ライン)でメッセージが届いた。この冬の野菜価格の高騰につけ込んだ仕業か。特命取材班は現場に急行した。

 海辺に面し、民家と畑が点在する同市志摩久家。被害にあった畑を訪ねると、くしの歯が欠けたように不自然に長ネギが抜かれていた。「農作物を盗(と)らないで」と書いた看板がある。

 「一生懸命に育てたのに…。盗んだ人は、種をまけば勝手に野菜が生えてくるとでも思っているんでしょうか」。畑の持ち主、中島まゆ美さん(48)は憤る。

 中島さんによると、約2300平方メートルの畑でダイコン約6千本、長ネギ約800本などを栽培している。最初の被害は昨年12月下旬、長ネギ約40本。さらに今年1月上旬にかけ、3回にわたってダイコン計116本が盗まれた。糸島署に被害届を出している。

 長ネギの盗難は、収穫しやすいよう根元の土を掘り起こした翌日。ダイコンは漬物用に天日干しをしており、収穫3日前だった。近隣の畑でも同様の被害が出ているという。中島さんは「収穫のタイミングを把握しており、農業に詳しい人物の犯行では。被害が続くかもしれない」と話す。

 昨秋以降の台風や悪天候の影響で葉物を中心に野菜は高騰している。農林水産省の食品価格動向調査(24日)によると、1キロ当たりの価格はキャベツが平年比2・19倍の419円、ハクサイが同2・31倍の362円、ダイコンが同2・22倍の342円となっている。

 JA糸島によると、市内では昨年12月下旬から1月上旬にかけ、ハウス栽培のイチゴの窃盗被害が未遂を含め6件発生。市は昨年末、防災行政無線で防犯対策を呼び掛けた。

 取材班が九州各地のJAに問い合わせたところ、JAふくおか八女(同県八女市)やJAながさき県央(長崎県諫早市)でもイチゴの窃盗を確認。高騰が続けば、野菜にも被害が広がる恐れがある。JAながさき県央は「盗難に注意するよう各農家に呼び掛けている」という。

 「野菜を返してとは言わない。もう盗むのをやめてほしい」と中島さん。不安を募らせつつ、夜間の見回りを続けている。

=2018/01/29付 西日本新聞朝刊=

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