引っ越し難民、春に続出? 物流業の人手不足深刻 新生活スタートに思わぬ試練

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トラック運転手だけでなく作業員も人手不足が深刻化するなか、大手運送会社では外国人留学生がアルバイトスタッフとして働いていた=福岡市
トラック運転手だけでなく作業員も人手不足が深刻化するなか、大手運送会社では外国人留学生がアルバイトスタッフとして働いていた=福岡市
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 「今春、大学に進学する息子の引っ越しの見積もりを業者に頼んだら『4月上旬まで対応できない』と言われた」。福岡市の男性から特命取材班にSOSが寄せられた。調べてみると、深刻化する人手不足や働き方改革を背景に、今年の3月下旬~4月上旬は希望時期に転居できない「引っ越し難民」が大量に生まれる恐れがあることが分かった。物流業界では引っ越しを別の時期にずらす「分散引っ越し」を呼び掛けており、早めの対処が必要なようだ。

 「3月24日~4月8日の2週間は予約で埋まっています」。取材班が福岡市の引っ越しセンターに問い合わせると、オペレーターが申し訳なさそうに言った。

 国内大手も含め計8社にも電話をかけてみた。「早朝や深夜でも可」など時間帯を選ばなければ受け付け可能な業者もあったが、申し込みの“本番”はこれから。今後、企業などの人事異動の内示が本格化するほか、3月の国公立大学の合格発表が終われば、1人暮らしを始める新しい大学生が一気に予約を入れる。

 大手業者の広報担当者は「今年は異常事態。法人契約は断れないし、予約の受け付けはますます厳しくなる」。しわ寄せは個人の利用者に向かいそうで、大学の入学式までに引っ越しが終わっていない学生が出ることも予想される。

 なぜ、こんな状況になったのか。ある業者は「運転手不足を背景に昨秋、宅配大手のヤマト運輸と佐川急便が運賃値上げと労働条件見直しに踏み切ったのが大きな要因」と説明。好待遇を求める運転手たちが引っ越し業者から宅配業者に流出し、引っ越しのドライバーが不足気味になったという。

 さらに、長時間労働抑制などの働き方改革で、大手業者を中心に、今春の引っ越し受注を絞る動きがある。学生アルバイトもきつい仕事を敬遠しがちで、作業員集めに苦心する業者も多いという。福岡倉庫(福岡市)の引っ越しセンターの担当者は「需要増を見越してもっとドライバーなどを確保しておけばよかった。先を見通せなかった」と悔やむ。人件費確保などのため、繁忙期に料金を値上げする業者もあるという。

 全日本トラック協会は「引越(ひっこし)混雑予想カレンダー」を作成。転勤時期を迎える市町村や企業に引っ越しを3月前や4月中旬以降とするよう協力を求めている。

 4月に福岡市の企業に就職する広島市の男子大学生(23)は「自分は早く申し込んだため予約が取れたし費用も約6万円で済んだが、申し込みが遅れた友達は同じ福岡までで約14万円かかることになった」。福岡市の予備校に通う男性(19)は、都内の国立大の2次試験を今週末に控えており、3月の合格発表後に新居を決めることになる。「親は引っ越しができるかなど心配しているけど、正直まだ考える余裕はない。いざとなれば、家財道具は引っ越し先で調達します」と話していた。

=2018/02/23付 西日本新聞朝刊=

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