「モペット」乗れない留学生ら困惑 ベトナムで若者に大人気の電動自転車 日本では「バイク」扱い

大原昴自動車・スポーツ専門学校が保管するモペット。無免許では公道を走れないことを知ったベトナム人留学生が手放した
大原昴自動車・スポーツ専門学校が保管するモペット。無免許では公道を走れないことを知ったベトナム人留学生が手放した
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右ハンドルがスロットルになっている。法令上はバイク扱いだ
右ハンドルがスロットルになっている。法令上はバイク扱いだ
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 ペダルをこがずに走行できる通称「モペット」。一見すると運転免許不要の電動アシスト自転車だが、モーターの力だけで進むことから、日本では法令上、免許が必要な「バイク」となる。最近、福岡県内で急速に増えているベトナム人留学生らの間で人気を博しているという。一体どうして?

 200人近い留学生を受け入れている大原昴自動車・スポーツ専門学校(北九州市八幡東区)。昨年10月、ベトナム出身のグエン・バン・ディエップさん(19)がモペットでの通学希望を届け出た。学校側は「公道を走れば違法になる」として認めなかった。

 情報提供してくれた日本語課教員の彌源治之利さん(53)によると、2年ほど前からベトナム出身者を中心に「乗りやすい自転車がある」と口コミで広がり、これまで10件近い通学希望の届け出があったという。

 留学生から学校側が引き取り、校内に保管するモペットを見せてもらった。右ハンドルがスロットルで、ひねると自走する仕組み。確かに見た目は自転車だ。

 福岡県警によると、道交法上、自転車は「人の力により運転する二輪以上の車」。自走するモペットはバイクに当たる。公道を走るなら運転免許の取得に加え、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)への加入やヘルメット着用が義務。ナンバープレートも必要だ。福岡市で2016年、モペットで公道を走ったとして違反者を摘発した例が2件あるという。

 なぜモペットを買ったのか。グエンさんは友人に紹介され、通販サイトで購入。価格は約5万円で、電動アシスト自転車の半値ほどだった。最高速度は20キロ程度で「自転車で通学すると片道約40分。モペットは20分で済み、魅力的な乗り物と思った」と言う。

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 背景には、母国の事情があるようだ。県内の大学に通う女子留学生(26)によると、ベトナムでは「電気自転車」と呼ばれて運転免許は不要。高校生ら若者に大人気だとか。福岡市などでも利用している留学生はおり、「日本でもベトナムの感覚で乗っている。免許が必要なことを知らないふりをしている留学生もいる」と声を潜める。

 複数の通販サイトを見ると、モペットは「フル電動自転車」などの名で売られ、使用例として工場やゴルフ場での移動が記されていた。ある業者は取材に「『おもちゃ』の扱いで紹介している。公道では走行できないとただし書きで示している」と答えた。

 全国的にモペットの通信販売は増え、点検や整備を受けていない例も多いとみられる。福岡県と同様にベトナム人が急増する愛知県では、ヘルメット未着用の留学生がモペットで車と接触し、大けがを負う事故も起きた。

 国民生活センターは「自転車と同じもの、と誤認してしまううたい文句で販売する業者もいる」と注意を呼び掛けている。

=2018/02/28付 西日本新聞朝刊=

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