文科省、私立小中生の支援金滞る 見通し甘く想定の2倍申請 9億円分予算足りず

 文部科学省が、私立小中学校に通う子どもがいる年収400万円未満の世帯に対し、経済的支援として年額10万円を支給する制度を本年度から始めたものの、申請を受け付けた昨年7月以降、約2万1千人の全国すべての対象者に未支給の状態が続いていることが、「あなたの特命取材班」への情報提供で分かった。申請者数について文科省の見通しが甘く、想定の約2倍の申請が寄せられて予算が足りなくなったため。文科省は対象世帯を絞った上で、今月中に支給する方針を明らかにした。

 文科省によると、私立小中学校就学支援金は都道府県への補助事業で、前年の所得に応じた市町村民税の所得割額が10万2300円未満の世帯が対象となる。

 子どもの貧困対策も関連した実証事業として、義務教育で私立校を選択した理由や家庭の経済状況についてアンケートに協力することが条件で、全国で1万2千人程度の申請を予想し、本年度予算に12億円を計上していた。しかし、実際には約2万1千人から申請があり、全対象世帯に支給するためには約21億円が必要であることが判明。約9億円分の予算が不足する事態に陥ったという。

 同省高校修学支援室は「事前の調査を基に申請数を予想していたが、実態とずれがあった」と説明。補助事業のため補正予算では対応できず、他の財源を調整してある程度の予算を確保したが、全国で700人弱は支給を受けられない見通しになっているという。国会審議中の新年度予算案でも本年度と同額しか盛り込まれておらず「支給要件の見直しを検討する」としている。

 私立校は経済的負担が大きく、比較的高年収の世帯の子どもが通うケースが多いが、地元の公立校でいじめを受けて転校するなどの事例もあり、所得に応じて授業料の負担を軽減する狙いがあった。私立高校の生徒については、低所得世帯への就学支援制度が導入されている。

 福岡県私学振興課によると、対象世帯に支給決定通知すら出せない状態が続いてきた。複数の学校や保護者から「いつ支給されるのか」との問い合わせを受け、文科省に催促を重ねてきたという。今月16日になって文科省から内定通知が届き、近く各学校を通じて保護者に伝える。担当者は「ここまでずれ込むとは想定していなかった。文科省の見通しが甘かったと言わざるを得ない」と話した。

=2018/03/20付 西日本新聞朝刊=

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