高校の“朝課外”「強制された」生徒の声相次ぐ 本来は任意のはずが… 福岡の県立高

昨年末、県内の高校の教室は朝課外に励む生徒たちで埋まっていた
昨年末、県内の高校の教室は朝課外に励む生徒たちで埋まっていた
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特命取材班に寄せられたメッセージ。朝課外で睡眠不足を強いられる現状を「つらい」と訴えた(写真の一部を加工しています)
特命取材班に寄せられたメッセージ。朝課外で睡眠不足を強いられる現状を「つらい」と訴えた(写真の一部を加工しています)
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 「朝課外」「ゼロ時限」と呼ばれる補習が福岡県の県立高校で事実上、必修化されてきた問題で、多くの学校でこの春、初めて生徒の意思確認が行われた。県教育委員会は生徒の自由参加を徹底させる方針だが、二の足を踏む学校もある。特命取材班には「参加を強制された」という生徒の声が相次いで寄せられた。過渡期を迎えた朝課外の現状を追った。

 朝課外は、午前7時半ごろに始まり45分間程度。全国では一般的ではないが、福岡県を中心に九州では定着している。福岡では遅くとも1970年代に始まったとされ、多くの高校で「伝統」として続いてきた。

 本来は任意であるはずが「必修化」し、正規の授業をする高校もあることが問題視され、県教委は昨年11月、任意参加を徹底するよう各校に通知を出した。

 ところが-。ある高校の男子生徒は「参加を強制された」と訴える。3月の全校集会で参加の有無を問う同意書が配られたが、進路指導の教員から「これまでと全く変わらない。出席に同意するように」と一方的に言われたという。「親と自分で考えることなのに、圧力をかけるのはおかしい」と憤る。

 他にも「不参加なら三者面談をすると言われた」「同意書に『同意』の1択しかなかった」といった声が多数寄せられた。取材班が入手した音声データでは、教員が「塾に比べて朝課外にかかる費用は20分の1程度だ」と強調。「どっちが親孝行?」と尋ねたり「受けなければ受験に失敗する」と告げたりしていた。

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 現場の教員はどう思っているのか。

 40代男性教諭は「任意を徹底すれば勉強しない子はずっとしなくなる」と危惧する。この高校では実際に同意を促した教員もおり、結果的に9割の生徒が参加を表明したという。進学校に追いつきたいという事情もあるようだ。

 朝課外にかかる教員の人件費は生徒側の負担となっている。「参加が減れば先生の報酬も減る。だから強制している」と推測する生徒もいるが、男性教諭は否定。「準備の手間は変わらないので一人でも多く受けてもらいたい」と話した。

 働き方改革が叫ばれる中で「生徒のため」と信じて準備に励む教員は少なくない。「受験は団体戦。空席が目立てばモチベーションに影響が出かねない」(30代女性教諭)と懸念する声もあった。

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 確かに、ある男子生徒は「みんなと勉強した方が頑張れる」と話した。でも、睡眠不足を招く朝課外には反対。「長期休みや放課後の補習は受けたい。でも、朝課外とセットになっていて、自由に選べない仕組みが問題だと思う」と嘆く。

 そもそも朝課外にどれほどの効果があるのか。県教委は検証したことがないという。インターネット上では、早朝授業は効果がないとする海外の研究を引用し、廃止を訴える意見が目立つ。

 脳科学の権威である川島隆太東北大教授に聞くと、「朝食を食べた後の午前中が一番脳が働きやすく、学習に効果的」。ただし「生活習慣が確立されていれば、の話」。

 文部科学省の2014年調査では、深夜0時以降に就寝する高校生は47%に上り、3人に1人が睡眠不足を感じていた。川島教授は「早寝早起きが前提だったころは理にかなっていたと思うが、時代に合わなくなっているのでは」と疑問を投げ掛けた。

 半世紀近く続く伝統の朝課外。来年度から完全選択制に移行できないか検討を始めた高校もあるという。ある男性教諭は「学校も少しずつですが変わりつつあります」とメールを寄せた。

=2018/04/18付 西日本新聞朝刊=

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