終わらぬ公共工事、なぜ?背景に数々の「誤算」 事故を心配する声も 北九州

大川橋交差点の拡幅工事の影響で混雑する北九州市門司区の国道3号=8日(写真の一部を加工しています)
大川橋交差点の拡幅工事の影響で混雑する北九州市門司区の国道3号=8日(写真の一部を加工しています)
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 この公共工事、延々と続いているけど、いつまでかかるの? そんな疑問を抱くことは少なくない。北九州市門司区の主婦(58)からも「自宅近くの道路拡幅工事が終わらない。理由を調べてほしい」との調査依頼が特命取材班に寄せられた。事業主体の市に聞くと、実は2年前に完成する予定だったという。どうなっているのか。

数々の「誤算」 事業費1億円膨らむ

 同市小倉北区の中心部から車で15分ほど。JR門司駅前を北に進むと、大川橋交差点が見える。国道3号が南北に走り、東側から県道がぶつかる丁字路だ。

 問題の工事は渋滞の解消を目的に、国道上り線に右折レーン、下り線に左折レーンを整備するもので、2013年3月に着手した。片側2車線を1車線に規制し、重機を使った工事が続いている。

 単なる交差点の拡幅だけなら「1年~1年半で可能な工事」(市道路建設課)。ただ、交差点そばには川が流れている。交差点北側の国道と東側の県道にそれぞれ橋があり、老朽化しているため、架け替えが必要として、市は工期を長く取って3年と見積もった。

 それでも終わらない背景には、数々の「誤算」があった。

 県道と国道の上り線を同時に通行止めにして橋を架け替える予定だったが、そもそも重機の作業スペースが確保できない。橋を支えるくいを打ち込む固い地盤が、事前のボーリング調査のデータより深い位置にあることも判明した。あれやこれやで工期が繰り下げになり、16年3月の完成予定が今年9月にずれ込んでしまった。最終的な事業費は約13億円になる見込みで、当初より約1億円膨らんだ。

「見通しが甘いと言われても仕方ない」

 市によると、現場付近の国道の通行量は1日平均2万6千台。右・左折レーンがないため、右・左折待ちの車の影響で渋滞が慢性化していた。その上、工事が長引き、毎朝夕のラッシュ時は最大600メートルほどの渋滞が発生するという。

 「おかげで夫は朝の出勤時間を30分早めたほどです。急な車線変更による事故も心配」。取材班に情報を寄せてくれた主婦は話す。近くの小森江西校区自治連合会の森川征彰会長(76)は「国道が混雑する影響で、通学路でもある小学校そばの狭い道が抜け道になっており困っている。早く終わってほしい」と訴える。

 市道路建設課は「見通しが甘いと言われても仕方ない」と釈明した。

九州の公共工事、2割が工期延長

 もっとも、公共工事の遅れは珍しいことではない。

 国土交通省九州地方整備局によると、17年度の工事契約件数約1700件のうち、諸事情で工期を延長したものは約2割に上るという。行政運営に詳しい斎藤文男・九州大名誉教授(行政法)は「計画のずさんさや住民の反対などが原因。特殊な例ではない」と指摘する。

 実際、北九州市でもJR折尾駅(八幡西区)周辺の区画整理や駅舎建て替えなどの総合整備事業が3年遅れ、完成は25年度にずれ込む見通しだ。補償物件の移転に時間がかかったのが要因という。

 地中から考古学的な価値のある品が出土するなど、やむを得ないケースもある。斎藤教授は「工期が延びれば事業費が膨らみ税金の無駄遣いにつながったり、市民生活に大きな影響を及ぼしたりする可能性もある。まず住民のニーズをしっかり聞いた上で計画を練り上げ、遅れた場合は速やかに理由を説明するなどの対応が必要ではないか」と話している。

=2018/05/27付 西日本新聞朝刊=

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