今年のトマト、なぜ安い? 過去3年で最安、農家は悲鳴

安値で店頭に並ぶトマト=25日午後、福岡市中央区
安値で店頭に並ぶトマト=25日午後、福岡市中央区
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 「最近、福岡市内で売られているトマトの値段が下がっている。どうして?」。特命取材班に調査依頼が届いた。美容や健康に効果があるといわれるリコピンも豊富な夏野菜の代表選手。昨年は、東日本を中心とした天候不順でトマトを含む野菜の高値が続いたが、今季は何が起きているのか。

 同市中央区の青果店「かいぶつくん赤坂店」を訪ねると、福岡や熊本産の丸々として大きなトマトが並んでいた。4個盛りの値札はなんと「100円」。金沢厚子店長(58)によると「去年の今頃は同じ値段で小さいトマト2、3個だった」。迷わず手に取った主婦(52)は「安いからまとめ買いしてスムージーにします」と話した。

 青果卸売会社「福岡大同青果」(同市)によると、1キロ当たりの卸値は、4月の平均が前年同期より15円安い243円。5月に入ってさらに下落し、26日に177円となり、過去3年で最安値を記録した。前年同月平均より58円安かった。28日は192円。担当者が「今年3月以降、トマト栽培に適した暖かくて雨が少ない天候が続き、出荷量が増えたことなどが要因」と教えてくれた。

 トマトの生産地の一つ、福岡市の4月の平均最高気温を調べてみると、確かに平年値より2・4度高く、降水量も平年の約半分だった。JA全農ふくれんによると、5月下旬の出荷量は前年同期より3割も多いという。「値下がりは九州だけでなく全国的な動き」。トマトが食卓で活躍する日々が続きそうだ。

 生産量日本一を誇るのは熊本県で、JA熊本経済連によると特に値下がりが顕著なのはミニトマト。スーパーなどから引き合いが多く、生産面積が増えていることが背景。生産者からは「ここまで下がると経営に大打撃」と悲鳴が上がっているという。

 取材を終えて真っ赤なトマトにかぶりつくと、甘味と酸味が口いっぱいに。おいしいのに安くて、うれしい半面、申し訳ない気持ちにもなった。

=2018/05/29付 西日本新聞夕刊=

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