公園の柵、景観か安全か 住民意見反映し低く 飛び出し事故誘発も

交差点の角に位置する姪浜明治通公園
交差点の角に位置する姪浜明治通公園
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公園前の低いフェンスを隔てて多くの車が行き交う=福岡市西区
公園前の低いフェンスを隔てて多くの車が行き交う=福岡市西区
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 「道路沿いの公園から突然、サッカーボールが飛び出してきたせいで、追突事故を起こしてしまった」。そんな不満の声が、無料通信アプリLINE(ライン)を通じて特命取材班に届いた。交差点の角に位置する「危ない公園」なのだという。現場を訪ねた。

 福岡市西区の姪浜明治通公園。カメの形をした滑り台があることから、地元で「かめさん公園」と呼ばれる。芝生や砂場があり、民家やマンションが並ぶ住宅密集地にあって、子どもたちが遊べる数少ない場所だ。

 問題は、交通量の多い交差点に面していること。

 声を寄せてくれた自営業の男性(49)は昨年1月の夕方、仕事で運転中だった。公園北側の通りを走っていたところ、公園内で遊んでいた子どものボールが道路に飛び出してきて、前方を走っていた車が急ブレーキ。男性もブレーキを踏んだが間に合わず、前の車に追突してしまった。幸いけがはなかった。

 男性は憤る。「これだけ大きな交差点の角にあるのに、ボールはもちろん、子どもでも簡単に越えられるほど低いフェンスなのはなぜでしょうか」

 公園の四方を囲むフェンスの高さを測ると、民家に面した側のフェンスは2メートル以上あったが、交差点側は約60センチで、大人の膝丈ほどしかない。公園北側の芝生部分は丘のように小高く、一番高い所に立つとフェンスの意味はほとんどないように感じられた。

 近所に住む女性は、ボールが公園外に転がるのを何度か目撃したという。最近も、小学生ぐらいの子どもがフェンスを乗り越え、ボールを追って車道まで駆け出した。女性は振り返る。「車は子どもに気付いて止まったけど、見ていただけで冷や汗が出るぐらい、はらはらしました」

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 フェンスを高くすれば解決するのでは、と考えたが、そう簡単ではない。

 「子どもの身長より高いフェンスを設置し、公園外側からの見通しが悪くなると防犯上の問題が出てくる」。公園を管理する西区役所管理調整課の担当者は言う。例えば、子どもが集う公園に不審者がいても、外から見えないのはいかがなものか、というわけだ。

 景観面の指摘もある。まちづくりに詳しい九州大学専任講師の田北雅裕氏は「高いフェンスで囲むと、開放感のある公園の魅力が失われてしまうかもしれない」。実際、信号待ちの間に公園を眺めて一息つく歩行者もいた。街角に緑があることで、親しみやすい空間になっている。

 そもそも、この公園、市と近隣住民によるワークショップを5回開いた上で2003年に開園した。「これだけフェンスが低い公園は珍しい。公園の緑を景観に生かそうと、住民との話し合いで意図的に低くしたと考えられます」と、福岡市みどり整備課の上田裕貴課長は話す。公園のデザイン自体、住民の意見が反映された結果というわけだ。

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 では、公園の良さを残しつつ、事故を防止する方法はないだろうか。

 市公園条例は「危険な遊戯をすること」を禁止しているが「危険」の基準を明確にはしていない。ボール遊びといっても、さまざま。「バットで思い切り野球ボールを打つのと、3歳ぐらいの子どもと親が柔らかいボールで遊ぶのとでは全く違う。行政側が『ボール遊び禁止』とはしにくい」と上田課長は打ち明ける。

 とはいえ万一の重大事故に備えて、景観や防犯面に配慮しつつ、高さのある防護ネットなど安全上の工夫が必要なのかもしれない。

 ただでさえ、都市部は子どもたちが伸び伸びと遊べる場所に乏しい。それでも姪浜明治通公園の半径約500メートル圏内を歩くと、軽いボール遊びができそうな広い公園がいくつかあった。

 田北氏は「もっと広域で捉え、公園それぞれの特性を生かせるように子どもたちを上手に誘導できれば」と話した。

=2018/05/31付 西日本新聞夕刊=

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