電子キー異変、横須賀や那覇でも 専門家「米軍施設が影響の可能性」 佐世保では200件超のトラブル

自動車メーカーによってさまざまな形や呼び方がある電子キー
自動車メーカーによってさまざまな形や呼び方がある電子キー
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 長崎県佐世保市で5月下旬に相次いだ自動車の電子キーの不具合問題を巡り、米軍施設のある神奈川県横須賀市や那覇市でも過去に同様のトラブルがあったことが「あなたの特命取材班」の取材で分かった。米軍は基地施設と佐世保での不具合との関連を否定しているが、専門家は「米軍の設備が影響している可能性が高い」と指摘する。

 佐世保市では5月24日ごろから28日までの間、市中心部で車のドア開閉やエンジン始動が可能な電子キーが反応しないトラブルが相次いで発生。市内の車販売会社に少なくとも200件以上の相談があった。

 その後の取材で横須賀市でも複数メーカーの販売店に同様の相談があったことが判明。トヨタ系の販売店では4月中旬、基地周辺のショッピングモールで電子キーが反応しないというトラブルが10件以上寄せられた。店員は「空母や潜水艦の影響があるのではないか。出港後は相談が来なくなる」。別の販売店は「最近は電子キーの品質が向上してあまり聞かなくなったが、十数年前は空母が入港すると、よくトラブルが起きていた」と証言する。

 米軍基地が集中する沖縄ではどうか。無線従事者の免許を持ち、那覇市の通信会社に勤める60代男性は「過去にも米軍艦が来港すると、電子キーが反応しなくなることがあった。無線受信機でも電波を確認しており、米軍の影響ではないか」とみる。

 東京都市大の岡野好伸教授(情報工学)は「無線は傍受されないよう周波数をランダムに変えながら交信するのが普通」とした上で「電子キーの周波数帯と、米軍が交信に用いる周波数帯は近いとされ、重なった場合はキーが動作しない可能性が高い」と説明する。交信用の電波は電子キーのものより非常に強いため、紛れてしまうという。

 電波法で無線の利用は厳しく規制されているが、日米地位協定により、米軍の無線局は法規定から除外されている。一方、電子キーは無線利用の世界ではいわば“新参者”。「米軍の利用は長年続いており、影響が出ているからといって単純に悪者扱いすることはできない」(岡野教授)。

 取材班には、コインパーキングでも不具合のトラブルが発生したという情報が寄せられた。岡野教授によると、入出庫を管理するセンサーなどからの電波が影響した可能性があるといい、「電子キーと同じ周波数帯を使えば、影響が出ることはあり得る」と語った。

 1990年代から本格的に導入が進んだ電子キー。近年は車の鍵としてスマートフォンを活用する技術開発も進んでいる。岡野教授は「スマホの周波数帯は大きく異なり、同様のトラブルは考えにくい。いずれこうした障害も過去の“伝説”になるだろう」との見方を示した。

=2018/06/03付 西日本新聞朝刊=

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