「何度かけてもつながらない」 救急車呼ぶ前の相談窓口「#7119」 限られた人員・回線に電話集中

「#7119」を呼び掛ける福岡県のマーク
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救急車の出動件数が増える中、自治体は「#7119」の運用で、より緊急性の高い人への救急医療提供を目指す
救急車の出動件数が増える中、自治体は「#7119」の運用で、より緊急性の高い人への救急医療提供を目指す
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 119番とは別に、開設する自治体が増えつつある無料電話窓口「#7119」。急な病気やけがで救急車を呼ぶべきか迷った際、医師や看護師などの専門家に相談できる仕組みだが、「何度かけてもつながらない」という声が特命取材班に届いた。電話がつながらないケースが年間8千件を上回る自治体もあるという。そもそも、どんな運用実態なのか。

 ゴールデンウイーク(GW)まっただ中の5月4日午前5時。福岡県古賀市の女性(74)は腹痛に襲われて目を覚ました。救急車を呼ぶのに抵抗があったため「#7119」にダイヤルしたが、つながらない。痛みをこらえ、計4回かけ直しても駄目だった。夫が起き出してくるのを待ち、午前9時に自家用車で病院へ向かった。

 診断結果は急性胃腸炎。持病にぜんそくを抱える女性にとって、胃腸炎は命取りになる場合もあると医師から説明され、「どうして救急車で早く来なかったのか」と入院を促されるほどの容体だった。「行きつけの病院がやっていない時間帯だから電話したのに。つながらないなら、意味がないんじゃないでしょうか」

「たまたま電話が集中」

 119番通報による救急車出動件数は年々増え、福岡市の場合、2017年は7万7763件と過去最多。軽症者による相談など緊急性のない内容は受付件数の2割を占めた。「#7119」は、こうした通報を引き受けることによって緊急性の低い救急車出動を抑え、重症患者に優先して利用してもらう狙いがある。

 東京都が07年に運用をスタートし、現在は7都府県、4市が開設。九州では16年6月に始めた福岡県が唯一で、事業委託された公益財団法人「県メディカルセンター」(福岡市)が年中無休、24時間体制で対応している。応対するのは看護師たちだ。

 ダイヤルすると、受診可能な医療機関の案内を受けるか、看護師に相談するかを選択できる。緊急性が高いと判断された場合は救急車を要請し、必要に応じて医師にも相談できる。

 女性がダイヤルした時、なぜつながらなかったのか。所管する福岡県医療指導課に聞くと「たまたま電話が集中し、回線が埋まっていたとみられます」。こうした不通のケースがどのくらいあるかは「システム上、分からない」という。

 一方、横浜市は応答できなかった件数と、その時間帯が分かる専用の回線システムを採用。17年度につながらなかったのは約8100件、全体の約3%だった。混み合う時間帯に人員を厚く配置するようにしており、応答率は少しずつ向上しているという。

人員に限りも、応答率100%は困難

 横浜市は福岡県などと比べて人口が少ないものの、「#7119」を開設する11自治体のうち最大の回線数と人員を配置している。人員が少ない福岡県では、つながらない件数はもっと多い可能性がある。

 とはいえ、現場もぎりぎりの労働環境にあり、応答率100%は困難。宮城県では、平日の場合、病院が閉まっていて電話が集中する傾向がある午後7時~翌日午前8時に限定して運用するなど、各地で工夫が始まっている。

 昨年9月に公表された内閣府の世論調査では、「#7119」の認知度は13%にとどまった。「いつでもつながる」という安心感がないと、周知も利用も進まないだろう。限られた人員で効率的に運用するための模索が続く。

=2018/06/07付 西日本新聞朝刊=

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