荒れる公園、どう管理? 雑草に埋もれるベンチ…行政「人員と予算に限界」

住宅地の中にある多賀1号公園。記者が訪れた5月22日は、ベンチがうずもれるほど草が生い茂っていた=福岡市南区
住宅地の中にある多賀1号公園。記者が訪れた5月22日は、ベンチがうずもれるほど草が生い茂っていた=福岡市南区
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薬院公園で草取りや清掃をする公園愛護会のメンバーたち=福岡市中央区
薬院公園で草取りや清掃をする公園愛護会のメンバーたち=福岡市中央区
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 生い茂った雑草の中に、埋もれるように置かれたベンチ-。福岡市南区に住む男性(62)から、荒れた公園の写真が無料通信アプリLINE(ライン)を通じて特命取材班に寄せられた。「整備が行き届いていません」。公園の管理は行政が担うはずでは…。現場を訪ねた。

 西鉄天神大牟田線高宮駅から徒歩で10分ほど。「多賀1号公園」(同区)は、民家やマンションが立ち並ぶ中にあった。子ども用滑り台とベンチが2脚あるが、写真の通り、1脚は雑草にほとんど覆われている。男性は駅に向かう際に、そばを通るという。「公園ができたのはいいけど、草がぼーぼーだと意味がないですよね」

 公園は宅地開発に伴い2009年に完成。現在は南区役所が管理している。市みどり運営課によると、委託した業者が遊具や設備の点検、除草作業をそれぞれ年に少なくとも2、3回行っている。同区維持管理課は「昨年7月と8月、業者が草刈りや植物の刈り込みをした」と説明した。

 特命取材班が区に問い合わせたのは5月下旬。その後、男性から「今月中旬に草刈りが行われた」と連絡があった。昨年の夏以来ということになる。

 市みどり運営課の篠崎慎一課長は言う。「限られた人員と予算では限界があります。質の高い管理のために、公園愛護会など地域の人々に協力いただきたい」

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 福岡市の公園管理に関する予算は本年度約27億円。管理する公園は大小合わせて1670カ所もある。

 日常的な管理の担い手として期待されるのが、公園ごとに結成される公園愛護会だ。町内会や自治会、老人会、子ども会のメンバーなどで構成。月に1回以上、除草や清掃、遊具の点検をして活動報告書を区に提出する。同市の場合、公園の面積に応じて各愛護会に年2万8千~4万2千円の報償金を支給している。

 同市中央区薬院3丁目の松尾健治さん(68)は、自宅近くにある「薬院公園」の愛護会会長。「地域の人がつながる場になればいい」。過去には園内の樹木の名札を地域の子どもたちと手作りし、今後は花壇も整備するという。一緒に活動する福田峰子さん(69)は「子どもたちが安心して遊びに来ている、そう感じるとうれしい」と話す。

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 課題は担い手の確保だ。愛護会はあくまでボランティアで、結成は強制ではない。福岡市では8割程度の公園で結成されているが、北九州市や熊本市では6~7割程度にとどまる。「メンバーの高齢化などで活動を維持できず、解散する愛護会もある」(北九州市公園管理課)。超高齢社会を迎え、住民の協力がなければ、地域の公園が荒れていく可能性がある。

 松尾さんは「メンバーは自治会など肩書のある住民ばかり。若い人の加入者がいない」と漏らす。通常、市は公園整備当初に地元に協力を呼び掛けるが、多賀1号公園の場合、愛護会は結成されていない。

 もちろん、愛護会がなくても自発的に活動する住民はいる。多賀1号公園近くに住む80代女性は「時々、ごみ拾いをしています」。近くのマンション管理人が清掃することもあるという。

 公園は市民の憩いの場というだけでなく、災害時の避難場所にもなる。松尾さんは「市民みんなが意識を持てば、安全安心な公園づくりにつながるのでは」と話した。

=2018/06/26付 西日本新聞夕刊=

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