「ブラック部活」悩める教諭 改善訴え、賛同6万超 全国に広がる

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 休みもなく、長時間化する部活動の練習が「ブラック部活」ともいわれ、学校現場を疲弊させている。西日本新聞あなたの特命取材班は5月に現状を報じたが、その後も変わらぬ状況に悲痛な声が絶えない。一方で、悩みを抱えるのは生徒だけではない。多くの学校で部活動の顧問が「強制」となっている中、部活の在り方に異議を唱え、発信する教諭が福岡にいる。「先生も生徒もみんな苦しんでいる」。思いは全国へ広がっている。

わが子の異変きっかけに「顧問拒否」

 福岡県の公立中学校に勤務する体育教諭、中村由美子さん(39)=仮名=は2014年、会員制交流サイト(SNS)上でつながった全国の教員仲間6人で「部活問題対策プロジェクト」を立ち上げた。インターネット上で(1)教諭に対する顧問の強制(2)生徒に対する入部の強制(3)採用試験で部活顧問の可否を質問すること-に反対する署名を集め続け、署名数は現在、延べ6万を超える。

 中村教諭は体育教諭だが本年度、部活の顧問を受け持たない。初めて「拒否」したのは15年。きっかけは自身の子どもの異変と病気だった。

 それまで長年、部活の指導を求める保護者や学校の期待に応えてきた。ソフトテニス、剣道、バレーボールなど、全て運動部の正顧問を受け持ち、平日の帰宅は午後9~11時。土日は毎週練習試合を引率し、年間を通しての休みは盆と正月の数日のみ。帰宅後も、保護者から相談などの電話が自宅にかかってくる。

 その間、家庭に割く時間はなく、子どもの世話は両親頼み。10年前、ストレスをためた当時小学生だった長女の異変に気付けず、担任から、もっと長女に目を向けるよう指摘された。14年、次男の出産時に1歳だった長男の血液の病気が分かり、働き方を見直そうと決めた時、SNS上で同じような悩みを抱える教諭らと出会った。

顧問の半数超が疲労や休息不足訴え

 長時間化する部活は教員の多忙化の大きな原因だ。文部科学省の16年の調査では、中学教員が土日に部活指導に費やす時間は2時間10分と、10年前より1時間4分増えた。昨年のスポーツ庁の全国調査でも、公立中の平日の活動日数は休みなしの5日が52%で最も多く、土曜の活動は「原則毎週」が69%。本来は強制できないが、全教員が顧問になるのを原則としているのが6割で、顧問を担当する教員の半数以上が疲労や休息不足などの悩みを抱えていた。

 福岡都市圏の公立中学の50代男性教諭は「たくさん練習試合に連れて行ってくれるのがいい先生だという、保護者からのプレッシャーもある」と話す。

専門知識なしに顧問受け持たされる現状が問題

 中村教諭は部活の顧問を断った15年以降、これまで以上に生徒指導と授業研究に力を注ぐ。16、17年は副顧問として、保護者対応を受け持ち、顧問のサポート役に徹した。正式に部活を持たないからといって、保護者や生徒との関係に支障はなく、これまでできなかった新しい授業スタイルを考え、実践することもできるようになった。

 部活を熱心に指導する教諭については「すごいと思うし、ありがたい」。一方で、専門知識を持たずに顧問を受け持たされる教諭が多い現状に一番問題があると感じてもいる。「部活指導のスペシャリストはごく一部。最新の指導法や知識を学ぶ時間も与えられないまま指導にあたることが、長時間の練習や試合の詰め込みにつながっているのではないでしょうか」

 教諭が黙っていては何も変わらない。教諭、生徒、保護者、それぞれの部活に対する温度差に悩みながらも、中村教諭はこれからも発信を続けるつもりだ。

=2018/09/20付 西日本新聞朝刊=

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