不公平?「栄養教諭」の配置格差 背景に国の基準 食育、アレルギー対応…

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 「特定の学校にだけ『栄養教諭』がいるって、不公平にならない?」。福岡市の40代女性から、あなたの特命取材班にこんな意見が届いた。実態を探ると、授業も担当する「教諭」として導入されたにもかかわらず、配置基準は給食の管理が主業務だった学校栄養職員と変わらないという課題が見えてきた。

 栄養教諭が誕生したのは2005年度のこと。給食の献立作りや調理、衛生面などを管理する従来業務に加え、新たに「食育」で中核的な役割を担う先生として位置付けられた。

 「食育は、いろんな教科と関連付けができるんです」。福岡市の栄養教諭でつくる研究会の副代表で、西区の金武小に勤める新子功恵さん(54)はそう語る。年度当初に、3年生の国語「すがたをかえる大豆」や、4年の保健体育「育ちゆく体とわたし」など、食育と関わる単元をまとめた文書を金武小の各教員に配り、意識を高めてもらう。これとは別に、年度中に全学級で食育につながる授業を実践しているという。

 ■他校でも授業

 新子さんは、栄養教諭が配置されていない別の2小学校にも出向いて授業をしているが、もどかしい思いも抱えている。

 金武小では学級担任との信頼関係を築きやすく、子どもたちの普段の様子を把握して給食指導や授業に生かせる。近年増えてきた食物アレルギーのある児童への対応を巡っても、給食で使用している食品の量や銘柄を細かく知りたい保護者と直接やりとりできる。一方、出向く学校では間に教員を挟んでの対応になるため、限界がある。

 現在、福岡市教育委員会が配置している栄養教諭は、小学144校に対し70人、中学69校に対し14人、特別支援学校7校に対し7人。なぜ全校に配置しないのか-。

 ■4校に1人も

 市教委給食運営課によると、背景には国の配置基準があるという。

 福岡市のように小学校ごとに給食の調理場がある「自校方式」だと、児童数が550人以上で1校に1人、それ未満であれば4校に1人という配置になる。中学校は、専用の給食センターで複数校分をまとめて作り配送するため、栄養教諭はセンターに配置される形になる。調理数が1500人分以下は1人、6千人分までは2人、それ以上は3人だ。

 国が自治体に人件費を配分するこの基準は、栄養教諭制度が新設されて以降も、学校栄養職員時代から変わっていない。それどころか、従来の栄養職員を配置し続けている自治体も少なくないのだという。

 現在、福岡市も栄養教諭の数は配置基準よりも少なく、20年度には基準通りにする方針。小学校は19人増の89人、給食センターが現行の4カ所から3カ所に再編される中学校は2人減の12人とし、特別支援学校は変更しない。勤務の在り方も見直し、配置されていない学校には他校の栄養教諭が週1日、出勤するようにする。既に一部の学校では昨年度から先行実施している。

 一方、現場の栄養教諭からは「中途半端な対応で、結局は家庭や地域とつながる機会が少ない」「教職員との信頼関係をつくりにくく、精神的にきつい」などの不満も。栄養教諭が働きやすい環境を整え、指導の学校間格差を是正するには、全校配置も一つの解決策ではないだろうか。

=2018/12/04付 西日本新聞朝刊=

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