なぜ?住宅街に危険な水路 復旧工事できず…土砂崩れの恐れも 福岡県宇美町

くだんの水路。底面下にできた空洞に、応急措置で土のうが詰められている=9月下旬、宇美町
くだんの水路。底面下にできた空洞に、応急措置で土のうが詰められている=9月下旬、宇美町
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 宇美町の住宅街にある一部の水路が危険な状態なんですが…。そんな情報を受けたあなたの特命取材班が現場を訪れると、本来は地中に埋まっているはずのコンクリート製水路が地表に現れ、側面どころか底面までもが露出していた。危険性が大きいことは一目瞭然だが、もう何年もこのままなのだという。なぜなのか。

 現場は、小高い丘の中腹にある斜面に沿って整備された住宅街の最上部付近。A氏宅に隣接する土地で、長さ10メートルほどの水路が“宙に浮いて”いた。厳密に言えば、水路下の空洞には崩壊をふせぐための土のうが詰められているのだが、大雨でも降れば崩れてくるのではと背筋が寒くなるような光景だ。

 水路を管理する町によると、ここには昔から農業用水路があり、地元からの改修要望で2008年、新たにコンクリート製の水路を埋設する工事を行った。

 ところが、現場は上流からの伏流水が出水しやすい場所である上、水路のルートを変更した事情もあり、工事に納得できないA氏と町との間で、水路撤去や土地の境界画定などを巡る裁判が今年まで続いていたのだという。

 この間、水路の脇を流れる山水で土砂流出の恐れが出てきたため、町は14年から何度か復旧工事を計画したものの、A氏から着工の同意を得られなかった。水路下部に空間も生じてしまい、町は昨年5月、土のうを詰めてふさぐ緊急工事をして現在に至っている。

 両者の言い分を聞いてみた。A氏は「水路のルート変更で出水が増えたので、水路を元に戻すなど根本的な工事をしないと問題は解決しない」と訴える。町は「出水を処理できれば解決できる」として、現在の水路に出水を流し込み、埋設し直す工事を予定。来年の梅雨時期までに完工したいとしている。

 宙に浮いた水路話は、果たして無事に着地できるのか。町議の1人は「仮に大雨が降れば、水路周辺で土砂崩れが発生し、下流の住宅街に大きな被害が出る可能性もある。まずは危険性の除去を最優先にしなければならない」と話し、町とA氏双方に歩み寄りを求めている。

=2018/12/12付 西日本新聞朝刊=

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