若者離れに懸念 消防団どうあるべきか 不満や疑問…団員の声さまざま

 災害発生時に活動する地域の消防団の在り方を巡り、さまざまな声が特命取材班に寄せられている。団員個人への報酬が団の運営費の穴埋めに充てられている実態を本紙が昨年報じたところ、「うちの団でも報酬をもらっていない」との不満や訓練方法への疑問、若者離れが進むことに対する心配の声も。曲がり角に立つ消防団の現状の一端が浮かんだ。

 消防団員は非常勤特別職の地方公務員という立場にあり、条例に基づき自治体から報酬が支払われる。

 本紙は昨年9月25日付朝刊で、福岡市の63の消防団分団に行ったアンケート結果を紹介。回答した34分団のうち28分団で、団員報酬の全額もしくは一部を集金。備品の修繕・購入代や訓練時の飲料代などに充てていた。福岡県内の複数の消防団員を取材すると、飲み会や海外旅行に使っているケースもあった。

 「地域の付き合いや仕事上、辞めたくても辞められない。飲み会に時間やお金を使う必要はなく、子育てに時間を使いたい」。福岡市内の消防団に所属する30代男性団員は、無料通信アプリLINE(ライン)でメッセージを寄せた。

 宮城県石巻市の男性団員からも声が届いた。「個人的な報酬は一度ももらったことはない。報酬の問題は以前から提起しているのに、団幹部は動かない。若い団員は嫌気が差して辞めていく」

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 火災消火を想定した基本操作を競い、毎年開かれる操法大会に関し「私生活を犠牲にして練習しても、現場ではほとんど役に立たない」という声も届いた。

 大会前の数カ月間は平日の夜も含めて連日練習する分団もあるという。日本消防協会によると、1968年に初めての全国大会が行われた。消火活動の迅速さや動作を競うもので、大会が始まった当初から内容はほとんど変わっていない。

 大分県中津市の男性団員は「基礎的な訓練にはなるが、大会につぎ込む練習時間や費用をもっと有効な目的に使うべきだ」と話す。「災害現場では使用できない大会専用の資機材が販売されていて、勝つためには不可欠」。競技での動作を素早くするため、実際の現場では使いにくい薄い手袋や軽い靴、ホースを購入することが多いという。

 住宅の性能は高気密・高断熱化しており、原発事故など災害も複雑になっている。「倒壊した建物のがれきを除去する訓練や、二次災害について学ぶ座学に時間を割いた方が、救える命が増えるはずだ」と、男性は訴えた。

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 不満や疑問ばかりではない。福岡市内の30代団員は「団員個人への報酬はなくても構わない。消防団は有志の集まりであり、報酬や営利目的ではない」と声を寄せた。「少なくとも、私の周囲の団員は志が高く、訓練に積極的に参加する人ばかりだ」という。

 福岡県内の別の団員からは「団員の確保に苦しんでいるところに、イメージを落とすような記事が掲載されて残念」という意見も届いた。

 声を寄せてくれた団員の多くは「批判していることがばれると、地元にいられなくなる」として、性別すら公表されることをためらった。地域に根差す活動ならではのしがらみもあるだろう。

 豪雨や地震など災害が相次ぐ中、いざというときに頼りになる消防団の存在感は増しており、住民の期待感も大きい。担い手不足が叫ばれる中、時代に適応した仕組みづくりのためにも、団員が自由に意見を表明できる環境が必要かもしれない。

=2019/01/25付 西日本新聞朝刊=

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