ツーブロックはダメ?校則に疑問の声 学校「高校生らしくない」

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 春4月。多くの子どもたちが新たな学校生活をスタートさせる中、福岡市の高校2年の男子生徒(16)から気になる声が特命取材班に届いた。「なぜ、ツーブロックの髪形がだめなのでしょうか」。ツーブロックは頭頂部を長く残し、サイドや後頭部を短く刈り上げた若者に人気の髪形だ。取材班が福岡県立の高校・中等教育学校全95校の校則を調べたところ、少なくとも約3割の27校が禁止項目に明記していた。

 男子生徒は中学1年だった2015年4月、服装検査で教員の指導を受けた。「君の髪はツーブロック。校則違反だからすぐに直してくるように」。中高生の散髪も手掛ける美容師には、ツーブロックが校則違反と伝えてカットしてもらっていた。それでも教員に指摘されて素直に従い登校するも「まだだめだ」。

 もう一度、美容室で髪を切り、ほぼ丸刈りにしたがなおも認めてもらえず、憤った保護者が学校に抗議。違反の基準や根拠を示すよう求めた。しかし学校側は「見た目で判断しており、明確な基準はない」と回答しただけだったという。

 ツーブロックはスポーツ選手や高級ホテルの従業員にもよく見かけ、清潔感が漂う。ただ、男子生徒は流行を追ったわけではなく、あくまで「さっぱりしたかっただけ」。その後も説明がないまま卒業し「なぜ違反なのか、いまだに分からない」と、もやもやした思いを抱き続ける。

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 取材班は今年2月、福岡県教育委員会に県立高校の校則に関する資料を請求。入学前に配布される「新入生のしおり」などの資料約550枚が提供された。併せて全校へのアンケートも実施。生徒指導担当教諭らに頭髪などの規定を設ける意図などを尋ね、25校から回答を得た。

 頭髪については、95校のうち全日制の全93校が規定。染髪や付け毛などを禁じ、禁止する髪形として27校はパーマやそり込み、リーゼントなどと同列の扱いでツーブロックと明記していた。「技巧的」「不自然」「特異」などと表現する高校もあった。禁止する理由として、多くは「高校生としてふさわしくない」ことを挙げる。

 校則の頭髪を巡っては、熊本県の中学校で丸刈りの強制は憲法違反として生徒が学校などを訴えたケースがある。17年には大阪府立高校の女子生徒が生まれつき茶色っぽい髪を黒く染めるよう強要されたとして提訴し議論になった。

 丸刈り校則はほとんどみられなくなったが福岡県内の複数の高校は、天然パーマや生まれつき黒髪ではない生徒に対して「地毛証明」の申告を求め、小さい頃の写真の提出を求めるケースもあった。

 関西学院大の桜井智恵子教授(教育社会学)は「厳しい頭髪指導の背景には、教育現場が地域の目に気兼ねし生徒の規律を重視している現状があり、構造的な問題。生徒と向き合い、多様性を引き受ける姿勢とゆとりが学校側には求められる」と指摘した。

=2019/04/13付 西日本新聞朝刊=

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