道端に散乱「黄金のペットボトル」 運転手がポイ捨てか 首都圏の幹線道路 「トイレに寄れない」過酷な運送業の実態も

大型車両が行き交う道路沿いに捨てられたごみや「黄金ペットボトル」=川崎市川崎区(東京新聞)
大型車両が行き交う道路沿いに捨てられたごみや「黄金ペットボトル」=川崎市川崎区(東京新聞)
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尿入りのペットボトルが捨てられていた植え込み(左側)=埼玉県三郷市(東京新聞)
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幹線道路沿いに捨てられた「黄金ペットボトル」=埼玉県三郷市(東京新聞)
幹線道路沿いに捨てられた「黄金ペットボトル」=埼玉県三郷市(東京新聞)
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道路沿いのごみを拾うボランティアら。不快な「黄金ペットボトル」に閉口している=東京都江東区(東京新聞)
道路沿いのごみを拾うボランティアら。不快な「黄金ペットボトル」に閉口している=東京都江東区(東京新聞)
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 「黄金色の液体が入ったペットボトルを首都圏の幹線道路周辺でよく見掛ける」。東京都在住の男性から調査依頼が届いた。何が起きているのか。取材を進めると、思わぬ問題が浮かんできた。

 男性がよく見掛けるという埼玉県三郷市の国道を歩いてみた。車道と歩道を隔てる遮音壁の車道側に、不審な500ミリリットルのペットボトルが2本転がっていた。歩行者が入るとは考えにくく、信号待ちなどの車からのポイ捨てと思われる。

 ラベルには「コーヒー」とあるのに液体は透き通った薄茶色。ふたを開けると、尿のにおいがした。

 物流センターや倉庫が林立する川崎市臨海部の市道では、わずか20メートルの間に「黄金ペット」らしき液体8本を発見。中央分離帯の植栽部でも不審なペットボトル14本が遠目にも見えた。

 回収した「黄金ペット」を民間分析機関「分析センター」(東京都千代田区)で調べてもらうと、確かに尿素を検出。「尿と考えられる」との結果だった。

 川崎市臨海部の事業所の男性職員(63)は「10年ほど前から年に5、6回ほどトラック運転手が捨てるのを目撃した」と打ち明ける。運転手を問い詰めると「トイレに行くのが面倒くさい」と言われたという。

 「黄金ペット」投棄問題は国も把握。国土交通省は2010年ごろから、国道の中央分離帯に防止ネットや柵を設ける対策を進めるが、いたちごっこが続く。

 都内の国道で清掃していた男性作業員は「月1回の清掃で約13キロ区間に60~70本出てくる」。千葉県の国道約100キロ区間を月1回清掃する業者も「毎回30~50本ある」と明かす。高速道路もポイ捨て多発地帯だ。NEXCO東日本は「主にパーキングエリアから本線への加速車線周辺で、週3回の清掃で1回当たり8本ほど見つかる」と嘆く。

 ボランティア清掃に当たる人たちからは「爆弾」と眉をひそめられている。

      ■

 誰が捨てているのか。

 宮城県の50代の男性運転手は「届け先に到着が遅れたときに『トイレに寄ったから』と言い訳したら、同業者から『車内でペットボトルにすれば遅れない』と助言された」という。

 福岡県の男性運転手は車内にペットボトルを常備。「2~3時間渋滞するとペットボトルに用を足すことになる。でも、中身はトイレに流している」

 業界も「黄金ペット」投棄に頭を痛めている。神奈川県トラック協会は、ごみのポイ捨てを戒める啓発チラシを作った。

 高梨信広・交通環境委員長は「トラックは荷主の時間指定に遅れることのないよう、早めに到着して近くで待機するが、都市部では大型が止められる駐車場が少ない。地方から来て、地理に明るくない運転手はトイレ探しに困ることになる」と説明。荷主に有料道路料金を負担してもらえない場合もあり、小さな会社の運転手は一般道を選ぶしかないという。「運転手の労働環境も大切で、改善には荷主の協力が欠かせない」

 問題の裏側には、ドライバーを取り巻く厳しい現状が横たわる。ただ、路上投棄が免罪されるわけはない。廃棄物処理法違反に当たる可能性があり、感染症の恐れも出てくる。

 川崎市健康安全研究所の小児科医三崎貴子さんは「液体の入ったペットボトルで子どもが遊ぶこともある。外に放置しないで」と訴えている。

(東京新聞「ニュースあなた発」)
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