「震災万葉集」が完成 熊本地震の被災体験 短歌、川柳、狂句に 過酷な境遇ユーモア交え

震災万葉集を手に「文学で次世代に伝えたい」と語る服部英雄館長
震災万葉集を手に「文学で次世代に伝えたい」と語る服部英雄館長
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 熊本地震の被災体験を文学作品として記録しようと、熊本県立図書館内のくまもと文学・歴史館(熊本市中央区)が募った短歌や川柳、熊本独自の狂句など4066点を収めた「震災万葉集」が完成した。小学生から90代まで幅広い世代の作品は、過酷な境遇を嘆きつつ、ユーモアを利かせたしなやかでたくましい逸品がそろった。

 「すさまじき音してゆがく筍(たけのこ)の湯が飛び散りぬああ震度七」「車中泊気遣ひながら寝返りす八ヶ月の腹の娘と並びゐて」。地震の瞬間や避難生活を詠んだ短歌は、激震の衝撃と生死が隣り合わせだった避難生活の生々しさを伝える。

 県民に親しまれている肥後狂句は、与えられた課題に対し、熊本弁でとんちのきいた下の句を紡ぐのが真骨頂。「のさん(つらい)」という課題に「元彼がいる避難先」は、恋多き女性の気持ちを表現したユーモアあふれる作品だ。

 「地震(ない)あれど全山緑いざ生きむ」は再起を誓う俳句。「震災でみんなのやさしさあふれだす」と詠んだ小学生の俳句は、被災地支援に対する感謝の気持ちがにじんでいる。

 震災万葉集は、服部英雄館長が震度7に2度襲われた益城町に何度も訪れ、発案した。「あの日のことを言葉のバトンに」として県文化協会などを通じて募ったところ、短歌1454点▽肥後狂句1011点▽川柳851点▽俳句654点▽詩50点▽漢詩23点▽随筆など23点-が集まった。

 服部館長は「作品には非日常的体験が生み出すリアルさがある。熊本地震を体験した人々の記憶を次世代に伝えたい」と話している。

 作品は同館で開催中の企画展「震災の記憶と復興エール」で展示している。5月29日まで。入場無料。


=2017/04/17付 西日本新聞夕刊=

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