実写版「美女と野獣」 アニメ、舞台とは違った新しさ

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 「美女と野獣」は昔から伝わる物語をディズニーが1991年にアニメ映画化して大ヒットし、舞台にもなった名作。国内では劇団四季が95年から上演し始めて、延べ500万人以上が観賞した作品だ。だが、21日に公開された実写版の「美女と野獣」は、同じディズニーの作品でありながらこれまでこのお話ではあまり触れられていなかった「家族」が一つのテーマとして見え隠れするなど、新しい物語となっている。

 「家族も語る」お話に

 人を外見で判断した王子が罰として魔女に醜い野獣に変えられ、ヒロインのベルを愛し愛されることでその魔法が解ける、というストーリーの基本は同じ。敵役のガストンやその取り巻きであるル・フウ、野獣が住む城の召し使いのポット夫人やコグスワース、ルミエールなどの登場人物も同じだ。ベルが住む町や周囲の風景もどことなくアニメに近い。召し使いたちがベルをもてなすにぎやかなシーンも健在だ。

 だが、大きな違いが冒頭から出てくる。物語の舞台がフランスであるということが語られる。また、ベルと父親のモーリスがどこか別の場所からこの町に移り住んでいることが示唆される。モーリスの職業もアニメや舞台では「発明家」だったが、実写版では芸術家に近い職人だ。

 一方、野獣がなぜ傲慢(ごうまん)な性格になったかが、アニメ、舞台では出てこない家族を絡めて語られる。舞台では本が読めなかったが、実写版の野獣は学識が豊かであることをうかがわせるセリフもある。野獣とベルの違い、それは家族の愛があるかどうかだ。

 音楽では舞台版の野獣のハイライト、ベルに拒絶され絶望を歌う1幕最後の「愛せぬならば」がなくなり、ダンスをした後にベルを父親のもとに帰した後に歌う「ひそかな夢」が新たに入れられた。打ち解けた後だけに切なさがあふれるが、「もしかしたら帰ってくるかもしれない」というわずかな希望も歌う。この曲も含め、アニメや舞台の歌を手掛けたアラン・メンケンが新たに3曲作った。

 また、城の召し使いも含めて、登場人物に黒人が出てくることに驚く。実写版では「同性愛者になっている」とも騒がれたル・フウだが、それよりも最後にガストンとやや距離をとった言動を見せ、実は町の人たちの中で一番の良識人にもみえるシーンも新鮮だ。

 ベル役のエマ・ワトソン。ハリーポッターシリーズでハーマイオニーを演じたことで知られるが、彼女の凛(りん)としたたたずまいは、自分をしっかり持っているベルそのもの。歌声も良かった。日本語吹き替え版もオリジナルの雰囲気をよく生かした歌声になっている。

 実写になりただゴージャスになったというだけではない。新しい「美女と野獣」は奥行きが広い物語となっている。

=2017/04/21付 西日本新聞夕刊(娯楽面)=

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