映画「ダンシング・ベートーヴェン」 ベジャール「第九」の舞台裏描く

映画「ダンシング・ベートーヴェン」(C)Fondation Maurice Béjart,2015 (C)Fondation Béjart Ballet Lausanne,2015
映画「ダンシング・ベートーヴェン」(C)Fondation Maurice Béjart,2015 (C)Fondation Béjart Ballet Lausanne,2015
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出演者350人の大舞台

 ベートーベンの「第9」を聴く機会の多い年の瀬。人間の生の喜びを存分に示した名曲に、20世紀を代表する振付家モーリス・ベジャールも魅せられバレエで表現している。ベジャールは2007年にこの世を去り、再演不可能と目されていた舞台「第九交響曲」が14年に実現。350人もの出演者による空前絶後のステージとなった。公開中の映画「ダンシング・ベートーヴェン」=写真=はその舞台裏を追い、ベジャールの創作に迫ったドキュメンタリーである。

 映像が追うのは、スイスのモーリス・ベジャール・バレエ団と東京バレエ団の共同制作舞台。過酷な練習に取り組むダンサーの姿を映しつつ、生前の巨匠について関係者の証言が織り込まれる。

 ベジャールの死後、バレエ団の芸術監督に就いたジル・ロマンは「ベジャールの第九はわれわれを前進させる力がある」、美術制作担当者は「ベジャールは違うことに移るほうを好んだ。瞬間を生きる人だった」と回想。妊娠が分かりメインから降板した女性の苦悩などダンサーのさまざまな思いもすくい取り、舞台を目指し心を一つにしていく様子がよく分かる。

 ズービン・メータ率いるイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団が演奏。輪廻(りんね)の思想に影響を受けたというベジャールらしく、天体図を想起させる図形が描かれたステージで、ダンサーたちは時には官能的なほど肉体を躍動させる。壮大なスケールの舞台で、言語も異なる東西のダンサーたちが手を取り合い、前へと歩み出す第4楽章は圧巻だ。


=2017/12/28付 西日本新聞夕刊(娯楽面)=

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