尹東柱、死の前日描く創作ミュージカル 最期の地・福岡で上演 釜山の劇団「カマコル」 31日から福岡市東区で

創作ミュージカル「序詩」の一場面
創作ミュージカル「序詩」の一場面
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 旧福岡刑務所で獄死した韓国の国民的詩人・尹東柱(ユンドンジュ)(1917~45)の最期をテーマにした韓国・釜山市の劇団「カマコル」の創作ミュージカル「序詩」が31日から福岡市東区のなみきスクエアで上演される。尹が亡くなる前日が描かれており、韓国では2014年に初演、昨夏にも再演され話題を呼んだ作品で、日本上演は初めて。劇団側は「尹東柱を通してアイデンティティーについて、日本人と考える機会にしたい」と話している。

 尹東柱は満州(現中国東北部)に生まれ、京城(現ソウル)の延禧専門学校(現延世大)を卒業。翌42年、24歳で日本に渡り、立教大で英文学を学んだ。その後転入先の同志社大在学中の43年、ハングルで詩作し朝鮮独立運動に加担したとして治安維持法違反容疑で逮捕され27歳で獄死した。

 題名の「序詩」は尹の代表作から取った。死の前日、意識が薄れる尹は家族と再会する幻覚に陥る。文学の道に進むことに反対だった父からは激しくののしられながらも「僕が僕であることを証明できる方法は、言葉しかない」と最後まで意志を貫く。自身のアイデンティティーを考え抜く尹の姿を描いているという。

 福岡市でホールの管理・運営や舞台芸術のプロデュースなどを手掛けるNPO法人「アートマネージメントセンター福岡」が26日から同市で開催される演劇フェスティバル「キビるフェス」への参加をカマコルに呼び掛け、上演が決まった。公演は韓国語で行い、日本語字幕が付く。

 脚本、演出担当の李彩鏡(イチェギョン)さん(36)は「尹が亡くなった地での上演は感慨深い」と期待を掛け、「故郷喪失者の尹が自らのアイデンティティーを求める姿は人々が孤立を深めている現代にも通じる。だからこそ彼の詩に今、再び触れる意味がある」と強調している。

 ◇劇団カマコル創作ミュージカル「序詩」 31~2月2日、福岡市東区のなみきスクエアで計3回。一般2500円など。アートマネージメントセンター福岡=092(752)8880。

=2018/01/11付 西日本新聞夕刊=

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