シナロケの青春「心地いい」 鮎川誠役の福山翔大 「You May Dream」で初主演

「サングラスの向こうの目はぎらぎらしていた」とステージ上の鮎川誠について語る福山翔大
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鮎川誠を演じる福山翔大
鮎川誠を演じる福山翔大
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反骨心に満ちた70年代描く

 今年、デビュー40周年の節目にあたるロックバンド「シーナ&ロケッツ」(シナロケ)の草創期を題材にしたNHK福岡放送局制作のドラマ「You May Dream(ユー・メイ・ドリーム)」で、福岡市出身の福山翔大(しょうだい)がシナロケのギタリスト鮎川誠を演じている。撮影を終えた福山にドラマにかけた思いなどを聞いた。

 1994年生まれの23歳。昨年、NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」に出演するなど注目株の若手俳優は、鮎川役のオファーが来るまでシナロケ自体を知らなかったという。

 「最初は大きな役が来たとうれしかった。でも、資料を読み込むうちに鮎川さんのような格好良くて芯の通った太い人を演じられるのかと不安になった」

 日本のロックシーンをけん引してきた実在の人物を演じるプレッシャー。シーナ役の石橋静河とともに東京・下北沢でシナロケのライブを聴いた。

 ステージを終えた鮎川は「翔大、来てくれたとね」と喜び、緊張する福山の手を取り「いろいろ言われるやろうけど気にせんどきい」と気遣った。

 「決して無駄なことを話さない人。僕がいろいろ聞いたとしても多分『そうね』『楽しみにしとるけん』と言われるだけで、そこには答えがないような気がしました」

 石橋も同様の悩みを抱えていた。「リアルさを追求すれば苦しくなる。石橋さんとはお互い意識し過ぎればお二人の絶妙なバランスが崩れるという話をしました。結局、自分自身を信じるしかない。鮎川さんたちの情熱を消さないようにと心掛けた」

 福山はギターを猛特訓。就寝前にラジオ番組に出演した鮎川の声を繰り返し聴いて役作りに励んだ。実年齢と同じ23歳から36歳までを演じ、鮎川らが結成した伝説のバンド「サンハウス」を経てシナロケデビューに至る道のりをたどり、70年代の熱気を追体験した。

 「今は携帯もあって人と人が簡単につながれるけれど、人間臭いつながりなのか。若者の反骨心に満ちていたあのころの情熱は僕にはとても心地よかった」

 福山が反骨心にひかれる背景には自身の苦い経験もある。中学生のころ東京の芸能プロダクションから誘いがありながらもすぐには応じなかったため「バツンと切られた」という。その事務所を「見返してやろう」と福岡第一高時代に映画のオーディションを受けて芸能界入り。エキストラから出発した下積みの時期があって今回、初の主役を獲得したとの自負がある。

 目指す俳優は高倉健。インタビューには借り物ではない自分の言葉で答える。「常に変幻自在でいたい。かといって、器用に立ち回ることはできない。器用だねと言われたら役者は終わりだから」。信念を貫くロッカーを演じ終えて自分の歩む道を確信したようだ。

=2018/01/10付 西日本新聞夕刊(娯楽面)=

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