唯月ふうかの存在感で見応え 博多座「舞妓はレディ」

「舞妓はレディ」でヒロイン春子を演じる唯月ふうか(右)と女将役の榊原郁恵
「舞妓はレディ」でヒロイン春子を演じる唯月ふうか(右)と女将役の榊原郁恵
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周防正行監督のヒット映画を舞台化

 「お越しやす~」と開演を告げる京言葉のアナウンスが劇場内に流れ、花街の世界へ一気に引き込まれた。博多座(福岡市博多区)で上演中の「舞妓(まいこ)はレディ」(20日まで)は、周防正行監督のヒット映画を舞台化した作品で、劇場にとって初のオリジナルミュージカルとなる。地方出身で舞妓を目指す主人公・春子を、ミュージカル界で活躍する唯月ふうかが演じ、持ち前の明るさと歌唱力で存在感を発揮、見応えのある作品に仕上げた。

 なまりのきつい津軽弁と鹿児島弁を話す春子が花街の世界に飛び込み、周囲の人々に温かく見守られながら数々の困難を乗り越え、夢をかなえる物語。映画は鹿児島出身の上白石萌音がヒロインを演じ、素朴な田舎の少女から舞妓へと見事に脱皮していく成長物語だった。唯月はテレビの露出は少ないものの、ミュージカル「ピーターパン」の9代目を務め、「屋根の上のヴァイオリン弾き」など場数を多く踏んできた若手の注目株。ひたむきな演技で、上白石とはひと味違う、はつらつとした春子を作り上げた。

 周防作品はオードリー・ヘプバーン主演の往年の名画「マイ・フェア・レディ」が下敷きになっており、ヒロインに京言葉をマスターさせる言語学者が登場する。舞台でこの役に扮(ふん)したのはミュージカル経験が豊富な平方元基(福岡市出身)、春子を受け入れたお茶屋の女将(おかみ)を榊原郁恵という配役が舞台に安定感をもたらした。最初は映画と比較して客席から見ていたが、いつの間にかそんなことも意識しないようになった。

 物語は、春子と言語学者の淡い恋に一歩踏み込んだ以外は、ほぼ映画を踏襲。演出した寺崎秀臣が「最大の課題」に挙げた場面転換も、出演者の歌でつなぎ、和柄の緞帳(どんちょう)を開閉させて次の場面に違和感なく移っていく。緞帳は京都の和柄を取り入れた障子で作られ、照明が当たると模様が浮かび上がるなど、舞台ならではの工夫を随所に施し、楽しさが増していった。

 一方で、キャスト間の歌唱力の差が耳に付いた。歌はミュージカルの重要な構成要素だけに残念だが、それも愛嬌(あいきょう)に思える舞台だ。エンターテインメント作品で定評のある周防監督のヒット映画がベースという話題性は「本家」と比較されるリスクも伴うかけのような試みだが、唯月の存在感と小気味いいテンポの演出で、春風のような余韻が残った。

=2018/03/12付 西日本新聞夕刊(娯楽面)=

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