写真家「世界の鋤田」に迫る音楽ライブ 福岡市科学館で19日 福岡市の作曲家堤さんが挑む

堤秀樹さん(右)と鋤田正義さん(堤さん提供)
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19日に開かれる「スキタミュージック」のイメージ画像
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 共通の音楽という媒体を通じて「世界の鋤田(すきた)」を発信したい-。福岡市の作曲家堤秀樹さん(55)が、国内外の有名歌手を撮り続ける福岡県直方市出身の写真家、鋤田正義さん(80)の世界観を表現した音楽ライブに挑む。鋤田さんの写真は、世界のロック歌手らの「一瞬のきらめき」を引き出してきた。堤さんは、音楽に光の効果も加えた幻想的な演出で「世界の鋤田」に迫る。「メロディー」と「被写体」で音楽と向き合う2人が“真剣勝負”するライブは19日、福岡市中央区の市科学館で開かれる。

 堤さんは福岡県宗像市出身。宗像高卒業後に上京し、音楽プロデューサーとして小比類巻かほるさんの録音などを担当した。10年前に白血病を患ったが、福岡市で治療を続けて大病を克服。現在、5年前に設立した音楽会社「アヘッドレコーズ」の代表を務める。

 ライブの開催は今年4月、鋤田さんが故郷の美術館で初めて開いた写真展がきっかけ。関係者を通じて堤さんは会場での音楽演出を任された。写真展は、約1カ月半の期間で1万人を超える来場者でにぎわった。

 堤さんがライブで表現したいと挑む鋤田さんは、直方高を卒業後に大阪の広告代理店を経てフリーに転向。英国のロック歌手の故デビッド・ボウイ、「T・レックス」のマーク・ボラン、国内ではYMOのジャケット写真などを手掛けてきた。髪をなびかせ、エレキギターを弾くボランの写真を見たギタリスト布袋寅泰さんが「あの写真からギターを手にしたいと思った」と振り返るほど、迫力ある1枚を残してきた。

 写真展で、堤さんは「宇宙」をテーマに和楽器などを使ったオリジナルの楽曲を制作し、会場で流した。自ら手掛けた曲に導かれて写真を食い入るように見つめる来場者の姿に、堤さんは「鋤田さんの壮大な宇宙に少しは演奏で近づけたかな」と笑う。

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 今回のライブのタイトル名は「SUKITA MUSIC(スキタミュージック)~光に包まれるSUKITA宇宙~」。堤さんは写真展後、「次は自分のフィールド(演奏)に鋤田さんの世界を取り込み、表現したい」と感じるようになったという。

 ライブでは、写真展で好評だった和楽器をベースにした演奏が披露される。福岡を拠点に活躍するギタリストや尺八演奏家ら5人が出演。堤さんはキーボードを演奏する。加えて、レーザー光やプロジェクションマッピングを駆使して幻想的な空間も生み出す。

 鋤田さんの作品やメッセージを舞台のスクリーンに映し出し、鋤田さんの地元に伝わる「直方日若踊り」も舞台で披露される。踊りの旋律を生かして堤さんが作ったジャズ曲「HIWAKA」の演奏もある。

 堤さんは「光の中にお客さんが溶け込めるよう、音響や楽器の使い方、演出にとことんこだわっています」と、その魅力を語る。

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 堤さんは今回のライブをゴールにするつもりはない。「スキタミュージックを通じて福岡の音楽文化を世界に発信するのが夢」

 その趣旨に賛同して出演するギタリストのpepe伊藤さん(38)は「福岡の音楽文化の限界を突破しようとする堤さんの力になりたい」とリハーサルに余念がない。堤さんの友人で、ライブで披露される新曲「ヒマワリ」を作詞した神井真名さん=福岡市中央区=は「歌詞には、福岡の音楽文化が発展するように祈りを込めた」と熱く語る。

 「好きなことにがむしゃらな鋤田さんの生きざまを見習いたい」とも語る堤さん。白血病を乗り越えた気力をバネに、堤さんは「これからも全力で音楽を続けたい」。今回のライブはそのスタートになる。

 「SUKITA MUSIC~光に包まれるSUKITA宇宙~」 福岡市科学館6階サイエンスホールで19日午後2時、同7時の2回公演。前売りは大人3800円、高校生以下2千円。当日券は大人4500円、高校生以下2500円。各回定員200人で全席自由。当日演奏の5曲を収録したミニアルバム「UNIVERSE」も2千円で販売する。

=2018/10/17付 西日本新聞朝刊=

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