再起不能とまで言われた男が、現場に戻ってきた

 再起不能とまで言われた男が、現場に戻ってきた。福岡市の映画プロデューサー、村岡克彦さん(54)。2年前、不慮の事故で頸椎(けいつい)を損傷して寝たきりに。「もう、あいつは終わったな」と業界内でささやかれていた人物だ。

 乳がんで他界した僕の妻と娘の暮らしを描いた映画「はなちゃんのみそ汁」を手掛けたのが村岡さん。「この映画をはなちゃんの嫁入り道具にしたいんです」。妻がどれだけ娘を愛し、幸せを願っていたか。その思いを熟知していたからこその言葉に違いないと思った。ところが、喜びを分かち合うはずだった全国公開の初日、彼の姿を劇場で見ることはできなかった。

 復帰作は、福岡県糸島市のしょうゆ蔵を舞台にした映画「糸」。来春公開を目指し、資金集めに奔走中という。「奇跡は起こるんじゃない。自らの意志で起こすもの」。逆境からはい上がってきた男の言葉には、説得力がある。 (安武信吾)

=2017/09/13付 西日本新聞朝刊=

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