長崎・高島で撮られた映画を見返した

 年末年始に古里を訪ね、家族や友人との再会を喜ぶ一方、生まれ育った町の変化に驚いたという人も多いだろう。私が15歳まで暮らした長崎市の高島は、炭鉱閉山から30年余りで多くの建物が失われ、海から見える島のシルエットも記憶と異なっている。

 せめて昔をしのぼうと、閉山翌年に高島で撮られた映画「女咲かせます」(1987年)を見返した。松坂慶子さん演じる島育ちの女泥棒が仲間と白昼堂々、東京のデパートを襲撃するといった内容で、長崎県島原市出身の森崎東監督(90)がユーモアたっぷりに描く。ボタ山や立て坑やぐら、高層アパートなど、映し出される往時の島の風景がたまらなく懐かしい。

 森崎映画に共通するのは、社会の片隅で懸命に生きる庶民の姿。キャップランプに照らされて「がんばろう」を歌う田中邦衛さんらが、なぜか知り合いのおっちゃんたちに見えて不覚にも視界がぼやけてしまった。
(山崎清文)

=2018/01/14付 西日本新聞朝刊=

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