三十数年前、小学6年の時の話だ

 三十数年前、小学6年の時の話だ。理科教室で同じ実験班の女子から耳打ちされた。「この先生、実験中に女子のお尻を触るんだよ」。信じがたかったが、先生の動きを目で追うと各班を回りながら通りすがりにお尻にタッチ。その時、被害女子が先生に見えないように浮かべた、嫌悪に満ちた表情が忘れられない。

 社会にまだ「セクハラ」という言葉がなかった時代。先生への憤りはあったが、当時は子ども。教室の「支配者」に歯向かう勇気と力はなく、傍観者で終わってしまったのは今も忸怩(じくじ)たる思いだ。

 権力や立場を悪用し「何をしても許される」「相手も好意を持っているはずだ」と錯覚する支配者はどこにでもいる。昨年、米女優が映画界の重鎮によるセクハラを訴えたことをきっかけに性被害の告発が大きなうねりとなった。次は見て見ぬふりの風潮を葬る番ではないか。セクハラ撲滅へ、一人一人の覚悟が問われている。 (安部鉄也)

=2018/01/21付 西日本新聞朝刊=

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