「私はイオン生まれ、イオン育ち」

 「私はイオン生まれ、イオン育ち」。ももいろクローバーZの百田夏菜子さんが、数年前にイベントで、こう発言した。先日、取材した際に確認すると、彼女にとって故郷(浜松市)の原風景は地元の商店街よりも、幼少期から既に存在し、通い続けた大型商業施設の記憶なのだという。今の若い世代には珍しくもないことなのだろう。

 小説でも、画一的な郊外型の風景が地方の現在として描かれることが増えた。長崎市出身の吉田修一さん、本屋大賞に決まった辻村深月さん、本紙夕刊に小説を連載中の桜木紫乃さんらは、地方に生きる人々の閉塞(へいそく)感を作品にしつつも、舞台の土着性や特殊性を殊更には強調しない。

 今月始まった評論家の酒井信さんの連載「現代ブンガク風土記」(日曜掲載)は、こうした現代の地方をリアルに描く一群の小説を紹介する。単なるブックガイドではなく、現代日本を考える道しるべになればと思う。 (内門博)

=2018/04/15付 西日本新聞朝刊=

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