忘れられない味がある

 忘れられない味がある。まろやかなみそスープに太麺が沈み、豚ひき肉や野菜を炒めた具材がたっぷり。麺をすするとショウガの風味も広がり、箸が止まらない。福岡市・今泉の「中華しんちゃん」で大将の金沢広次さんが作るみそラーメン。その金沢さんが今春、75歳で亡くなった。

 大将は1979年に福岡で店を構え、98年ごろから今泉で営業していた。みそラーメンを看板に、うまい、早い、安いの三拍子。仏頂面で中華鍋を操る大将がえびす顔で客をもてなす人情味も好評で、店は「今泉のオアシス」と親しまれ、私も常連になった。

 4年前、大将の引退で惜しまれて閉店したが、みそラーメンは昨夏に復活。店舗跡のビルで長女が営むカフェを大将が手伝い始めた時はうれしい思いで記事にした。なのに大将は急病で逝った。心痛の遺族、そして天国の大将に常連を代表して伝えたい。あの一杯との出合いに感謝しています、と。 (木村貴之)

=2018/05/15付 西日本新聞朝刊=

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