博多に夏祭りの風が吹いている

 博多に夏祭りの風が吹いている。博多祇園山笠の舁(か)き山が動きだし、街を駆ける男たちの水法被が目に涼しい。先頭を駆けるのは子どもたち。大人に負けじと勇み立つ顔は一丁前(いっちょまえ)の「山のぼせ」だ。

 子どもたちにとって舁き山は、近くに寄れない憧れの存在だ。だから毎夏、男衆の目を盗んで舁き棒に触れ、自分の肩の高さと比べてみる。初めて棒に肩が届いた時は「山が舁けるぞ」と胸が高鳴る。

 背比べをする子どもを見て見ぬ振りをしてくれる「赤手拭(あかてのごい)」の兄ちゃんにも憧れる。真っ赤なねじり鉢巻きで舁き手を指揮する姿は格好よく、直会(なおらい)での立ち居振る舞いが大人の作法を教えてくれる。

 赤手拭や若手は、町の年寄りを敬う。それを見た子どもは自然に長幼の序を覚える。親や先生を困らせるわんぱく小僧も、山笠の兄ちゃんに叱られるとしゅんとなる。決めぜりふは「山に出さんぞ」。博多っ子は山笠と共に成長する。 (手嶋秀剛)

=2018/07/13付 西日本新聞朝刊=

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