長崎市街地を見下ろす風頭公園の坂本龍馬像

 長崎市街地を見下ろす風頭公園の坂本龍馬像。その制作者で彫刻家の山崎和国さんが先月83歳で亡くなった。生前、郊外のアトリエで幾度か話を聞かせていただいた。海をにらむ龍馬の腕はたくましく、力強く踏み出す左足にはブーツを履く。激動する幕末の長崎。はかまの折り目が浅いのは「姿格好を気にする暇もなく駆け抜けるありさまを表現したかった」ためだ。

 30代後半で教員を退職。ヒット作に恵まれず、彫刻とは無縁の店舗のデザインなどで生活をつなぐ。「妻に迷惑をかけたんですよ」。そう打ち明けた。龍馬像を手掛けたのは50代半ば。以後、全国各地から「あの龍馬より大きな物を」と注文が相次いだ。

 印象深い作品を問うと「函館に立つ龍馬」。維新で職を失う武士のため北の大地の開拓を目指したが、果たせず倒れた男にその土を踏ませたい-。有志の依頼を受け、実現に手を貸した。その答えにも人柄がにじんだ。 (重川英介)

=2018/07/20付 西日本新聞朝刊=

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