薄暗い部屋が、さらに重苦しさを増した

 薄暗い部屋が、さらに重苦しさを増した。10年前の秋、夜遅くに日銀本店内で幹部と非公式で会った。米国証券会社リーマン・ブラザーズが破綻してしばらく後だった。

 幹部はぼそぼそと「向こうにはかなり前から言ってたんだよ」。リーマン破綻に向かおうとする米政府側に「もし破綻させれば一機関の倒産に終わらず、全世界が混乱する」と警告していたというのだ。そんな危機感は、事前に公にされることはなかった。別の日銀幹部は後にこうも語った。「戦場で指揮官がしちゃいけないのは『ドント・パニック(パニックになるな)』と叫ぶこと」

 実際に世界のマーケットが大混乱する中、「自分たちは知っていた」という話を今聞かされても、と正直感じた。

 2008年9月15日に始まるリーマン・ショックから10年。金融のプロたちは今、水面下でどんな危機感を持ち、どんな暗闘を繰り広げているのだろうか。 (川合秀紀)

=2018/09/14付 西日本新聞朝刊=

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